ある日突然トイレが詰まってしまい、焦った経験はないでしょうか。トイレが詰まると用が足せないだけでなく、臭いの原因になったり、汚水があふれてしまったりとさまざなトラブルが発生します。
本記事では、トイレが詰まる原因や直し方を知りたい方に向けて、自分でできるトイレの詰まりの直し方を解説します。自分で対処できる詰まりと対処できない詰まりの判断のポイント、トイレの詰まりを直す際の注意点、業者に依頼する場合のポイントなども併せて解説していきますので、参考にしてください。
目次
そもそもトイレがなぜ詰まりやすいかを理解するために、洋式トイレの仕組みを知っておくことが大切です。
洋式トイレは、通常は便器内に封水という水がたまっています。封水は便器に汚れが付かないようにしているだけでなく、下水から上ってくる臭いや害虫などを防ぐふたのような役割を果たします。
用を足した後にタンクのレバーを押す(回す)と、タンクから流れ出た水が便器内の紙や汚物をカーブ状に伸びる排水路へと流し、さらに排水路の端にある「せき」を越えて、排水管へと押し流す仕組みです。
トイレが詰まっているのは、この「せき」の部分に物が詰まっているか、あるいはその先にある排水管の内部に物が詰まっているためであり、水がうまく流れずにたまってしまうと考えられます。
また、例えば誰かが用を足したすぐ後など、タンク内の水が十分にたまっていない状態で水を流そうとすると、うまく流れないケースもあります。そのため、水を流す際はタンクの水位が十分に上がっている状態か確認することが重要です。一般的にはタンクに水をためているときは水の流れる音がするため、音の有無で判断できます。
トイレが詰まっているかを判断する上で、どのような症状が「詰まり」に該当するかを知る必要があります。トイレが詰まっている場合の主な症状としては「水の流れが悪い」「便器の水位が普段よりも低い、あるいは高い」「水を流した際に異音がする」の3つがあります。
それぞれの症状の特徴や原因を詳しく見ていきましょう。
トイレの詰まりと考えられる第一の症状が、水の流れが悪いことです。通常はタンクのレバーを押す(回す)と便器内の水が排水口へと勢いよく流れていきますが、水の流れに勢いが無かったり、そもそも流れなかったりすることで、トイレの詰まりに気付けます。
水の流れが悪くなる主な原因に、便器の排水口や排水管に紙や汚物が詰まっていて、水のスムーズな流れを止めていることが挙げられます。
また、トイレタンクの不具合も、水の流れを悪くする原因の一つです。例えば、節水としてトイレタンクに何かの物体を入れて水位を上げていた場合、レバーを押しても十分な量の水が流れないために、トイレが詰まりやすくなります。そうしたときは、タンクから物体を取り出して水位を元に戻しましょう。
便器内の水位がいつもよりも低い、あるいは高い場合も、トイレの詰まりが疑われる症状です。
便器内の水位が低くなってしまうのは、排水管が詰まることで排水管内部の気圧が下がっているためです。排水管に残存している汚物やトイレットペーパーに封水が吸収されて、水位が低くなっている恐れもあります。
また、水を流した後で便器内の水位が高いままの場合も、排水管に汚物やトイレットペーパーなどが詰まっていて水の通りが悪く、うまく排水されずにたまっていると考えられます。徐々に詰まりが改善されれば、少しずつ排水されて水位は元に戻るでしょう。
水位の変化と同時に異臭も感じる場合は、排水口や排水管内に汚物などが引っ掛かって腐敗している恐れがあるため、注意が必要です。
トイレの水を流す際、通常はザーッと音を立てて流れていきます。しかし、便器の奥からいつもはしないような異音がする場合は、トイレの内部で何か異常が起こっており、水がスムーズに流れていないサインです。
例えば、排水に異常があると、ゴボゴボといった異音がするようになります。排水管などに汚物やトイレットペーパーなどの異物が詰まり、水や空気の流れを塞いでいる可能性もあります。
異音がした場合は放置せず、排水口や排水管に詰まりがないかすぐにチェックしましょう。
トイレが詰まっているにもかかわらずそのままにしておくと、さまざまな弊害が起こる可能性があります。
まず、トイレが使えなくなるため用を足したくても叶わず、生活に不便が生じるでしょう。また、排水時に排水管が塞がれているせいで、汚水が便器からあふれ出る可能性もあります。温水洗浄便座やヒーター内蔵の便座などがあふれた水で故障を引き起こすリスクもあります。
こうした弊害を放置すると、大きなトラブルにつながり損害が発生する可能性があるため、トイレ詰まりは早めに解消した方が良いでしょう。
ここでは、トイレの詰まりを放置した際に生じる弊害について、詳しく説明します。
日々の生活でトイレは必要不可欠な設備です。排泄は生理現象のため長く我慢できるものではありません。トイレが詰まって使えないとなると不便な思いを強いられます。
家の中に2つ以上トイレがあれば凌げますが、1つしかない場合は生活そのものが成り立たなくなる可能性があるでしょう。
また、トイレが詰まった状態で使用し続けていると、便器が故障したり、水が流れなくなったりするなどのトラブルが生じ、肝心なときに使用できなくなります。修理に時間が掛かれば復旧まで待たなければなりません。修理費用も掛かってしまいます。
トイレが詰まると排水管が塞がれてしまうため、放置して使い続けると水が排水管へと流れずに、便器からあふれてしまうことがあります。この汚水は排泄物に汚染されて多くの雑菌が含まれています。そのため、汚水が飛び散ってしまった場合の室内は汚物や雑菌で汚染され、不衛生な状態になるでしょう。
近くに置いてあった電化製品が汚水で濡れた結果、故障して二度と使えなくなるかもしれません。壁材や床材、カーペット、家具などのインテリアに臭いや汚れが染み付いてしまうと通常の掃除ではうまく除去できず、壁材や床材の張り替え、さらには室内全体の消毒などの修繕作業が必要になる場合もあります。
汚水で汚染された室内の回復には多大なコストが掛かるため、汚水があふれる前にトイレ詰まりを改善することが肝心です。
トイレ詰まりは、トイレそのものの故障も招きかねません。水洗トイレの中でも、温水洗浄便座やヒーターが内蔵された便座を備えたタイプの場合、トイレ詰まりによりあふれ出た水が原因で電気系統の故障を引き起こす可能性もあります。コンセント部分が濡れてしまった場合、漏電を起こすリスクもあるでしょう。
トイレが故障すると、便座が温まらない、洗浄機能が使えなくなる、水が漏れるなどさまざまなトラブルに発展します。メーカーに修理を依頼して直る場合もあれば、内部基盤そのものの故障で、修理できずに買い替えとなる場合もあります。買い替えには多大なコストが掛かってしまうでしょう。
経済的な不利益を未然に防ぐためにも、トイレ詰まりを放置せず早めに対応する方が賢い選択と言えます。
トイレの詰まりは、悪臭が部屋に広がる原因にもなります。
トイレ詰まりが原因で便器内にたまっていた封水が無くなってしまうと、封水によって塞がれていた排水管の臭いが便器まで上がってきます。排水管からの悪臭がトイレ内部だけでなく、他の部屋や家中に広がって充満するようになると、食事や睡眠などもままならなくなり、快適な生活に支障をきたすでしょう。
また、排水管から上ってくるのは悪臭だけではありません。封水によって侵入が防がれていた害虫なども入ってきてしまいます。害虫は一度部屋の中に侵入すると完全に駆除することは困難です。
トイレ詰まりを放置した結果引き起こされるトラブルの一つが、階下の部屋への水漏れです。
アパート・マンションといった集合住宅の場合や、2階にトイレがある戸建て住宅の場合は、階下の部屋にまで水漏れが起こり、さらなる被害へと発展する可能性があります。
特に集合住宅では、自室だけでなく階下の住居の壁紙や床材などのインテリア、より深刻な場合は家具家電などの汚染・損傷につながる場合もあります。その結果、張り替えや消毒作業などの修繕だけでなく、家具家電の修繕・買い替えに至るまで、損害賠償を請求されるリスクも否定できません。
また、集合住宅ではトイレの配管を共有しているケースが多くあります。こうした住宅では、一つの部屋でトイレが詰まると、他の部屋でもトイレの排水がうまくいかずに水漏れが起こりかねません。
他の住民に迷惑を掛けて経済的な打撃を防ぐためにも、トイレ詰まりは放置せず、早急に対応するのがおすすめです。
トイレが詰まる原因は日常生活のさまざまな場面に潜んでいます。例えばトイレットペーパーが詰まってしまった場合や、本来はトイレに流すべきではない水に溶けない異物を流した場合、水圧が弱くて水流のスピードが遅い場合、汚れがたまっている場合などです。
トイレ詰まりの原因を知っていれば、トイレが詰まらないよう注意しながら正しく使うことができます。トイレ詰まりの主な原因を、6つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。
特にトイレ詰まりの原因となりやすいのが、トイレットペーパーです。トイレットペーパーは水に漬すと細かく溶ける材質でできています。それでも、一度に大量のトイレットペーパーを水に流すと、うまく排水できずに排水管が詰まってしまう恐れがあります。
同じく「水に流せる」とパッケージに記載されているティッシュペーパーや除菌シート、赤ちゃん用おしりふきシートなども、一度に大量に流すとトイレ詰まりを起こしかねません。
水に溶けない異物を流す行為も、トイレ詰まりが起きる原因です。
例えば、カップラーメンを食べ終わった後のスープや残飯などをトイレに流した場合、本来トイレに流すことが想定されていないものを流すわけですから、トイレ詰まりの原因になり得ます。
また、おむつや尿漏れパッド、生理用ナプキンなど、同じ紙製品でも水に溶けない材質でてきているものは、排水途中で流れずに引っ掛かると、水を吸って排水管を塞いでしまう可能性があるでしょう。
猫や犬などを飼っていて、ペット用のトイレ砂をトイレに流す人もいるかもしれません。こうしたトイレ砂も詰まりの原因として挙げられます。
また、気を付けてはいても、スマートフォンやティッシュ、ビニール袋、子どもの玩具など、うっかり手やポケットから便器に落ちてしまい、トイレを詰まらせる原因になることがあるため注意が必要です。
いずれにせよ、水に溶けない異物がトイレに詰まったら、早急に取り除くようにしましょう。
トイレが詰まる原因として、水圧が弱い、あるいは水量が少ない可能性が挙げられます。水圧が弱かったり水量が十分でなかったりすると、トイレタンクのレバーを押し(回し)てもトイレットペーパーや排泄物をしっかり押し流せず、徐々に排水管が詰まってしまいます。
水圧が弱い原因として挙げられるのが、タンク内の何らかの部品が故障して、タンク内に十分な量の水を貯められないケースです。タンク内の部品が故障している場合は、専門業者に修理を頼む必要があります。
また、止水栓がきちんと開いていない場合も、水流は弱くなりやすいと言えます。ほとんど使うことがないため見落としがちですが、引越し直後などに水量が少ないと感じたら、止水栓の開き具合をチェックしましょう。
トイレタンクには「大」か「小」にレバーを傾けることで水量を調節できるものが多くあります。節水を意識して、「小」の水量で繰り返し流しているうちに、汚れが十分に流れ切らず途中で詰まってしまう場合もあります。
まめにトイレ掃除をしないことなどが原因で、便器や排水管に汚れが蓄積すると、トイレが詰まりやすくなります。便器から先の細い排水管に汚れがたまっている場合は、排泄物やトイレットペーパーが引っ掛かってしまう上に、見た目では気付きにくいことが難点です。
トイレを定期的に掃除せずにいると、黄色味を帯びた汚れが便器内やその周辺にこびりつきます。これは、尿に含まれる尿素やたんぱく質が雑菌により変質して固形化したものです。尿石はとても硬いため、一度たまるとこすり洗いをした程度ではなかなか落とせません。たまった尿石はトイレ詰まりだけでなく、悪臭の原因にもなります。
ただし、尿石のこびりつきは定期的に掃除を行っていれば防げるため、こまめな掃除を心掛けましょう。
トイレタンクに異物が入っているのも、トイレ詰まりを引き起こす原因となります。
例えば、節水目的でタンクの水位を上げるために、水の入ったペットボトルやビン、その他の節水グッズを沈めている人がいます。この場合、排泄物を流す水の量は抑えられるものの、水量が不足しているために便器内のトイレットペーパーや排泄物を十分に押し流せなくなります。見た目では正常に流れ続けているように見えても、実際には便器や排水管内に汚物が残ってトイレが詰まりやすくなっているため、注意が必要です。
また、タンクに沈めてある物体や節水グッズなどが、中で少しずつ動くうちに内部の部品に引っ掛かってしまい、タンクそのものの故障を招くこともあります。タンクが故障すると排水ができなくなるため、トイレが使えず日常生活に支障をきたすでしょう。タンクの故障は自力で直すのは難しく、専門業者に修理を依頼することになるため、大きな出費になりかねません。
トイレ詰まりの原因は、住宅内だけでなく屋外にも潜んでいます。
住宅から流れる排水や汚水には多くの汚物やゴミなどが含まれるため、直接公共の下水道システムには流れず、いったん屋外に設置された排水桝(はいすいます)という設備に蓄積されます。この排水桝は、一時的にたまった排水や汚水に含まれる汚物・ゴミなどを沈殿させて除去し、公共の下水設備へと排出する役割があるものです。
排水桝には、トイレだけでなく浴室やキッチンからの排水・汚水も排出されます。こうした排水・汚水に流れ出た油や石けんかすが冷えて固まると、排水桝そのものが詰まり、下水道への排水が滞ってしまいます。排水桝の流れが悪くなればその前のトイレ詰まりも誘発されるため、注意が必要です。
トイレの詰まりが起こった場合に備えて、お金を掛けずに自分で直すためのコツやテクニックを知りたい人も多いのではないでしょうか。
トイレの詰まりには、自分でも直せるケースと、専門業者に修理を依頼しなければならないケースの2種類があります。自分で直せるのかどうか判断に困ることも多々あるため、判断の基準となるポイントを解説します。
自分で直せるトイレ詰まりのケースとして、トイレットペーパーやその他の水溶性の異物が原因で詰まった場合が挙げられます。水溶性のものであれば、排水し続けるうちに時間の経過とともに詰まりが徐々に取り除かれ、症状が緩和されるでしょう。
そのため、詰まったものをすぐに除去するのではなく、しばらく放置して様子を見るのもおすすめです。便器内で通常よりも高くなっていた水位が少しずつでも引いていくようであれば、水が通るスペースが開きつつあると考えられます。
ただし、2~3時間としばらく間を置いても状況が改善されないようであれば、無理に自力で直そうとはせずに、専門業者に修理を依頼するのがおすすめです。
トイレットペーパーなど水溶性の素材でできたもの以外が詰まっている場合は、自力で直そうとせず、すぐに専門業者に修理を依頼するのがおすすめです。
例えば、排水口や排水管に詰まった異物を無理に取り出そうとすると、さらに奥へ押し込まれてしまったり、便器や配管の内部を傷付けてしまったりする恐れもあります。
大きすぎる固形物が排水管の内部に押し込まれた場合、排水管に亀裂が生じる、つなぎ目の部分が変形するなどのリスクもあります。
以上のような状況では、トイレ本体や排水設備そのものの修繕・交換が必要となるレベルのため、自分の手で解決するのは困難です。トイレの詰まり以上に深刻なトラブルへと発展する可能性もあります。近隣住民に迷惑を掛けるような被害拡大が起こったり、大きな経済負担を負ったりすることを避ける意味でも、決して無理をせず専門業者に依頼して解決しましょう。
トイレの詰まりを自力で直す場合は、どのような対処法があるか知っておくと、いざというときに役立ちます。具体的には、長時間放置して様子を見る、お湯を流して水の通りを良くする、ラバーカップを使って詰まりを取る、真空パイプクリーナーを使用するなどの方法があります。
詰まりの内容物や状態によって対処法を使い分けるのが肝心です。
ここでは、それぞれの方法を具体的に解説します。
トイレが詰まっていると分かったら、すぐに対処しようとはせずしばらく放置してみると良いでしょう。
トイレットペーパーや水溶性の異物が詰まっている場合は、時間の経過とともに詰まっているものが水に溶け出します。時間が経ち詰まっているものが削られたり、柔らかくなったりすると水が流れるスペースが広がっていくため、徐々に症状が改善されます。
ただし、放置したためかえって詰まりが悪化する恐れもあるため注意が必要です。放置するにしても、水が流れる状態や封水の水位などをこまめに確認しつつ、様子を見ましょう。
トイレットペーパーや水に溶ける物がトイレに詰まっている場合は、便器内にお湯を流してみるのも効果的です。お湯を便器内に流すと、詰まりが溶けて解消される可能性があります。
便器に流すお湯の温度は、40度から60度程度です。熱湯を使用した場合、陶器製の便器の場合は傷んだり割れてしまったりする可能性があるため、絶対にやめましょう。また、封水が張ったままだと、せっかくお湯を流しても温度の低下を招くため、事前に排水しておくのがおすすめです。
お湯はバケツに入れて、ある程度の高さから数回に分けて流し、一時間ほど放置します。その後、バケツに水を入れて便器に流し込み、問題なく排水されるか、封水の高さが元に戻るかなどを確認します。
トイレの詰まりを解消する道具としてよく使われるのが、ラバーカップです。長い柄の先端にカップ状のゴム製の物体が付いた道具で、スッポンなどとも呼ばれています。
ラバーカップの使用手順は、以下の通りです。
①床に新聞紙やビニールシートなどを敷きます。
②便器内の水位を、上部から10cmほどの高さになるよう調整します。水位が高い場合は灯油ポンプなどで水を除去し、水位が低すぎる場合はバケツで水を足します。
③大きなビニールシートの中心に穴をあけて、ラバーカップの柄を通したのち、便器全体を覆います。
④便器の排水口にラバーカップを押し込んで密着させ、真空状態を作ります。
⑤ラバーカップを勢いよく引き抜きます。
⑥詰まりが取れるまで、④と⑤を数回繰り返します。
⑦詰まりが取れたと判断された場合は、バケツで水を流して、スムーズに排水されるかどうかを確認します。
ラバーカップを使用するのは、あくまでトイレットペーパーなどの柔らかいものが詰まった場合のみです。玩具やスマートフォンなどの固い物体が詰まっている場合、ラバーカップを使用すると、排水管の損傷が起きたり、物体がさらに奥へ詰まるなどのトラブルにつながる可能性があるため避けましょう。
真空パイプクリーナーは、ラバーカップよりもさらに強い吸引力でトイレの詰まりを取り除ける道具です。ハンドルが付いたポンプの先にゴム製の吸引カップが付いた形状をしています。
真空パイプクリーナーは、以下の手順で使用します。
①真空パイプクリーナーの先端の吸引カップが水に漬かる程度に、便器の封水の水位を調節します。
②真空パイプクリーナーを便器内に押し込む前に、空中で上部のハンドルを押します。
③真空パイプクリーナーを便座にゆっくり押し込み、カップ部分を排水口に隙間なくしっかりと密着させます。
④上部のハンドルを勢いよく引き抜きます。
⑤一度では詰まりが取れない場合もあるので、②〜④のステップを何度か繰り返します。
真空パイプクリーナーはラバーカップと同様に、硬い物体が詰まった場合に使用すると排水口が破損したり、物体がさらに奥へと詰まったりするトラブルになる可能性があるため注意しましょう。
ワイヤー式トイレクリーナーは、ラバーカップや真空パイプクリーナーと同様に、トイレ詰まりの改善に使われる道具です。柔軟な素材でできた長いワイヤーの先端にブラシが付いています。ラバーカップや真空パイプクリーナーが吸引力を利用して詰まりを除去するのに対し、ワイヤー式トイレクリーナーは直接汚物や物体をかき出したり押し流したりして除去します。
ワイヤー式トイレクリーナーを使って詰まりを除去する手順は以下の通りです。
①ワイヤー式トイレクリーナーの先端を便器の排水口に差し込み、ハンドルを回しながら徐々に排水管内へと押し下げていきます。
②ワイヤーの先端が詰まっている箇所にぶつかり、それ以上奥へと進まなくなるまで、ハンドルを動かします。
③汚物の場合は奥へと押して流れていくよう、ワイヤーを動かします。硬い物体の場合は、先端に引っ掛けて取り出します。
なお、排水路の奥の方が詰まっている場合や、屋外に設置された排水桝に汚れがたまって詰まっている場合は、どれだけ長いワイヤー式トイレクリーナーを使用しても詰まりは解消されません。
便器の排水口など、詰まっている異物が目で確認できる場合は、手で除去するのが効果的です。ゴム手袋などを装着して、直に手で取り除きましょう。
洗浄用のブラシなどは、力の入れ方によっては本体が途中で折れて排水口に引っ掛かったり異物がさらに奥へ移動したりして、余計に取りにくくなり詰まりが悪化する可能性があります。詰まり除去専用のワイヤーブラシではない限り、使用は控えるのが無難です。
玩具や固い異物は、引っ掛かったままにしておくと便器が破損する恐れがあります。紙でできたオムツや生理用ナプキンなどは吸水性が高く、数倍の大きさに膨張して排水管をせき止めます。こうした状況をそのままにしておくと、便器を外すほど大掛かりな修理が必要になる可能性もあるでしょう。
洗剤を使って詰まりを溶かしていく方法もあります。トイレットペーパーや排泄物が詰まった場合は中性洗剤、こびりついた尿石には酸性洗剤を使用するのが有効です。
洗剤を入れる前に、便器内の水位が高くなっている場合は灯油ポンプやバケツなどを使用して余分な水を取り除きます。また、感電や故障を防ぐため、便器の周囲に差し込まれているコンセント類は抜いておきましょう。
洗剤を便器に使用した後は、1時間ほど時間をおいて様子を見ながら詰まりが解消するのを待ち、その上で水を流すのがおすすめです。
洗剤を使っても水がうまく流れない場合は、ラバーカップなどを使用することで、状況が改善される可能性があります。
トイレの詰まりを自分で直す際は、やみくもに挑戦しても失敗したりさらなる不便や損傷を招いたりするリスクがあります。
例えば、それぞれの詰まりの原因に適した方法を用いる、便器からあふれ出た汚水で汚れないよう事前に周囲をビニールで覆うなどのポイントを押さえてチャレンジすれば、水があふれるなどの事態が起きてもなるべく被害を抑えつつ、落ち着いて作業を進められるでしょう。
ここではトイレ詰まりを直すときに押さえておくべき注意点をご紹介します。
自分でできるトイレ詰まりの直し方でも触れたように、詰まりの原因によって取るべき方法が異なります。トイレットペーパーなどの水溶性のものが詰まりを起こしている場合は便器にお湯を流してみる、尿石汚れによる詰まりの場合は酸性洗剤を使うなど、原因ごとに適した方法を用いることで、望む効果が得られるでしょう。
そのため、まずはトイレ詰まりの原因を特定することが大切です。原因が不明なまま不適切な方法を用いて直そうとすると、トイレ詰まりがさらに悪化し、被害が拡大する恐れもあります。
トイレの詰まりを自力で直す際は、事前にしっかり準備しておくことが肝心です。例えば水があふれて床や壁材、家具などが濡れて汚れてしまう可能性があるため、被害が拡大しないように備えましょう。
トイレの床には新聞紙やビニールを敷き詰めておくと、水があふれたり汚れが飛散したりしても、被害が拡大せずに済みます。トイレの止水栓も前もって止めておきましょう。開けっぱなしにしたままで作業すると、水漏れする恐れがあります。
また、温水洗浄便座を使用している場合は、水に濡れてしまった場合の故障や感電、漏電を防ぐために、トイレの電源プラグを抜くことも重要です。トイレ内で使用している他の電化製品があれば、トイレの外に移動するか電源プラグを抜いておきましょう。
水の流れが悪い、水流が足りないなどの理由でトイレが詰まっていると判断し、トイレタンクのレバーを押し(回し)てさらに水を流そうとするのは避けましょう。
排水口や排水管が塞がっているため、汚水が逆流して便器からあふれ出てしまい、床や壁が濡れて汚れるリスクがあるため、むやみに水を流すのは避けるのが賢明です。
トイレが詰まった場合は、まずラバーカップなどの道具や手を使って詰まりを取り除いた後で、水を流しましょう。詰まりが徐々に解消されていると感じたら、バケツで少しずつ便器に水を足しながら水位を確認します。スムーズに排水されていることが分かれば、トイレタンクのレバーを押す(回す)のは問題ありません。
トイレの詰まりを取り除くには、強い薬剤を使えば簡単に解決できると考えるかもしれません。確かに薬剤が強力なほど高い効果が期待できますが、人体に及ぼす危険性も考慮する必要があります。万が一薬剤が目に入ったり皮膚に付いたりすると危険なため、本当に強い薬剤を使うべきかを判断しましょう。
詰まりの原因によっては、強い薬剤を使っても効果がない場合もあります。例えば詰まりの原因が尿石の場合、専用の薬剤でなければ効き目がありません。
また、強い薬剤は便器を損傷する危険性もあります。さらに、用法・用量を間違えると有害なガスが発生したりすることがあるため、細心の注意が必要です。
強い薬剤の使用は極力避け、他の対処法がないか検討することをおすすめします。
トイレの詰まりを重曹とお酢(クエン酸)で溶かす方法もあります。重曹とお酢を常備している家庭も多いため、比較的手軽に試せるでしょう。詰まりの原因がトイレットペーパーや排泄物、尿石などの場合は、重曹を1、お酢を2の割合で混ぜて炭酸ガスを発生させることで、詰まりを取り除けるとされています。
重曹とお酢を使用して詰まりを取り除くには、以下の手順で進めます。
①計量カップ4分の1程度の重曹を、便器の排水口に振り掛けます。
②計量カップ2分の1程度のお酢を注ぎ入れます。
③50度程度のお湯を、便器の水位の半分程度まで注ぎます。
④泡立ってきたら一時間程度放置します。
⑤バケツなどから便器に水を注いで様子を見、問題なく排水されていることを確認します。
ただし、詰まりの原因が特定できない場合、この方法は避けた方が良いでしょう。玩具などの物体が詰まっている場合は効果がな無いどころか、むやみに重曹やお酢を入れると、発生した炭酸ガスで便器の水があふれる危険性があります。
重曹とお酢が有効なのは、あくまでもトイレットペーパーをはじめ水溶性の物質が詰まったときに限ります。
トイレの詰まりを引き起こす原因の多くは、日常生活で気を付けていれば予防可能です。トイレの詰まりを予防する上で役立つ3つのポイントを解説します。
トイレには指定された本来の使い方があります。例えば便器の掃除など、普段何気なくやっている当たり前の行為が、もしかしたらトイレにダメージをもたらしているかもしれません。トイレを使用する際に特別何かを意識する方は少ない設備だけに、間違った使い方に気付くのは至難の業です。
トイレの便器には付属の取扱説明書があり、基本的な使い方やトイレに流してはいけないもの、故障と思われるケース、万が一詰まってしまった場合の対処法などが書かれています。現在トイレが詰まっていなくても、改めて取り扱い説明書の内容を確認しておくのがおすすめです。
また、普段からトイレ内で用を足しながら本を読む、スマートフォンをいじるなどの習慣がある場合は、うっかり便器内に物を落として詰まりの原因を作るリスクがあるため、見直す必要があるかもしれません。
子どもがいる家庭では、むやみにトイレで遊ばないよう教えたり、トイレでの遊びを未然に防ぐよう工夫したりすることも大切です。子どもがトイレの中で遊んでいる最中に、うっかり玩具やクレヨンなどの異物を便器内に落としてしまい、トイレが詰まってしまうケースが多々あります。
そのため、普段からトイレは遊ぶ場所ではないことを子どもに伝えておきましょう。詰まりが起こる可能性だけでなく、不衛生な環境で雑菌に感染したり、足を滑らせて便器で溺れたりぶつけたりするリスクも潜んでいます。
普段からトイレをこまめに掃除することも重要なポイントです。トイレの便器や排水管を定期的に掃除することで、汚れが蓄積しづらい状態を維持できます。
便器や排水管の見えない部分には、尿石や汚物がたまっている可能性があり、いったん蓄積すると、トイレットペーパーや排泄物がひっ掛かって詰まりやすくなります。なお、尿石の汚れは酸性の洗剤を用いて掃除するのが効果的です。
便器用、排水管用と洗剤を使い分けて、定期的な掃除を心掛けましょう。
トイレ詰まりの原因や症状によっては専門業者に修理を依頼しなければならない場合があります。修理の専門業者といっても一概に全ての業者が信用できるわけではなく、中には顧客から不当な利益を得ようとする悪徳業者もいるため注意しましょう。こうした悪質な業者に引っ掛からないためには、いくつかのポイントを軸に信頼できる業者かを見極めることが大切です。
ここでは、トイレ詰まりの修理を業者に依頼する際に押さえておきたい注意点を、3つのポイントにまとめて解説します。
業者が提示する見積り・料金体系が明確かをチェックしましょう。
トイレ詰まりの修理は無形のサービスのため、顧客から過分の利益を得ようとする悪徳業者がいる可能性もあります。中には、実際に修理を行った後や、修理を行う直前の時点で、追加費用やオプション代金などを上乗せして請求するようなケースもあるほどです。
こうしたトラブルを回避するには、事前に見積もりを依頼するのはもちろんのこと、追加費用が発生する可能性があるかどうかも確認することが大切です。作成された見積もりに、業者が提供する作業内容が具体的に記載されていることもチェックしましょう。
一例として、東京ガスでは、出張診断料・技術料込みで、便器脱着を伴わない詰まり除去は税込みで9,900円、便器の脱着を伴う詰まり除去は税込みで33,000円の料金を設定しています。
さまざまな業者のWebサイトで料金体系をチェックし、おおよその相場をつかんでおくと良いでしょう。
水道業者は多々あるため、どこが信頼できる業者か、どこが法外な請求をする悪徳業者なのかを見極めるのは簡単なことではありません。そこで目安となるのが、水道局の指定修理業者や指定工事店です。
指定修理業者・工事店とは、水道局など各自治体の水道事業者によって認定された業者を指します。一定以上の施工技術と正確な事務処理を備え、水道法施行令に定められた基準に沿って工事ができる業者であることの証しです。
水道局の指定修理業者・指定工事店は、サービスを提供するために必要な国家資格を取得しています。トイレ詰まりの修理を安心して依頼できるか判断するための一つの基準として知っておくと良いでしょう。
もちろん指定修理事業者・工事店以外でも、良心的なサービスを提供してくれるところは多々あります。しかし、初めてトイレの修理依頼をする、信頼できる業者が見つかっていない場合などは、事前に水道局の指定修理業者・指定工事店であるかを確認した上で依頼するのがおすすめです。
対応の丁寧さ、アフターフォローがきちんとしているかどうかも、良心的な業者を見極める上で役立つポイントです。
インターネットで検索すれば、各修理業者についてさまざまな情報や口コミ、レビューなどが公開されています。利用者からどのような評価を受けている業者なのか、ある程度のイメージをつかめるでしょう。業者のホームページに記載されている情報と、利用者の評価に乖離がある場合は避けるのが無難です。
また、一度修理しても症状が改善されず、追加の修理でさらなる費用が請求されてしまうケースもあるため、保証やアフターフォローの内容も事前に確認しましょう。
自力で、あるいは専門業者に依頼してせっかくトイレ詰まりを修理したものの、その後、詰まりが頻繁に起こる可能性もあります。そのような場合、単なる掃除だけではなかなか解消されないこともあります。並大抵の手段では落ちないほどに汚れが蓄積していたり、経年劣化によりトイレの性能が落ちていたりするかもしれません。
ここでは、頻繁に起こるトイレ詰まりを解消する上で役立つ2つのポイントを解説します。
なかなかトイレ詰まりが解消されない場合は、通常手段では手に負えないほどの汚れや異物が蓄積している可能性が高いです。その際は、専門業者に高圧洗浄を依頼しましょう。
高圧洗浄機により、高い水圧を掛けて排水管内に引っ掛かった異物や蓄積した汚れを削ぎ落とすことができます。中には、排水管内にカメラを通して状態をチェックした後、隅々まで汚れや異物をきれいに落とすサービスもあります。
高圧洗浄は、悪臭や害虫の防止にも効果を発揮する点からもおすすめの手段です。
もう一つは、トイレの便器・タンクを買い替える方法です。
トイレは耐用年数が長いのが特徴ですが、設置して10〜15年が経過し、頻繁に詰まりや悪臭が発生しているような場合は、本体の経年劣化により従来の機能を発揮できていない可能性があります。新しいトイレへの取り替えを検討するのも改善につながる一つの手段です。
新しいトイレは技術の進歩により、掃除しやすい形状にデザインされていたり、掃除の負担を減らす機能が付いていたり、水道代も節約できるよう水流が工夫されていたりと、使い勝手が向上しています。
新しいトイレへの買い替えにより、掃除の手間が減らせる上に、トイレ詰まりも防止しやすくなるでしょう。
トイレの詰まりを自分で直す際は、詰まりの原因を特定した上で、原因に合った方法で対処することが大切です。原因に適さない方法で直そうとすると、詰まりが改善しないどろか、かえって症状が悪化し、膨大な修繕コストが掛かる恐れもあります。無理して自分で直そうとせず、水道局などの指定を受けた信頼できる業者に相談するのがおすすめです。
便器・タンクを長年使っている場合は、買い替えることで詰まりが解消され、お手入れも簡単になるなどのメリットが期待できます。トイレの買い替えを検討している方は、ぜひミヨシテックにご相談ください。幅広い品揃えとリフォームの年間実績約200件の豊富な施工実績により、お客様のニーズに合った製品をお求めになりやすい価格でご提案します。