トイレの水が止まらない原因は? 自分でできる対処法やポイントを解説

更新日:2024.05.17

トイレ

家庭のトイレでよくある故障の一つに、トイレの水が止まらない、というものがあります。トイレを使いたいのに使えず、水ももったいないため、焦ってしまう方も多いでしょう。

本記事では、トイレの水が止まらずに焦っている方や「もしトイレの水が止まらなくなったら」と不安に感じている方に向けて、原因や対処法を解説します。自分でできる対処法とそうでない対処法の種類にも触れるので、参考にしてください。

トイレの水が止まらない原因は?

「トイレの水が止まらない」という状態にはいくつかのパターンがあり、それぞれ原因と対処法が異なります。どの状態に該当するかを見極めるには、トイレの中のどこで水が止まらなくなっているかをチェックしましょう。

例えば、タンク上部の手洗い金具で水が流れているか、手洗い金具の水は止まっているがタンクの中で流れているかによっても状況が異なります。まずはトイレの状況を確認し、水が止まらない原因を把握しましょう。

タンク上の金具(手洗い金具)の水が止まらない

手洗い金具から水が出続ける症状は、ボールタップの故障や不具合が原因で水が止まらないケースがほとんどです。

ボールタップは、トイレタンクの中にある給水のための部品です。通常は、トイレの水を流すと、水面にとどまるボールタップの浮き玉がタンク内の水位とともに下がり、浮き玉が下がることで給水ホースが開いてタンク内に水が入る仕組みとなっています。タンク内に水がたまると、再度浮き玉が上がって給水ホースの出口が閉まり、手洗い金具の水も止まります。ボールタップは年月がたつと劣化して正常に機能しなくなるため、10〜15年を目安に交換が必要です。

ボールタップの劣化以外では、ボールタップにハンドルレバーの鎖が絡まる、手洗い金具との接続部分に使われているゴム製のパッキンが劣化しているなどの原因も考えられます。

タンク内で水の流れる音が止まらない

トイレタンク内の水が止まらないときは、水位が通常よりも低くなっている可能性があります。タンク内で給水を止めるのは先述のボールタップの役割ですが、一定量まで水がたまらないためボールタップの浮き玉が上がらず、いつまでも給水が続くという状態です。

この場合、主な原因はフロートバルブの異常にあると考えられます。フロートバルブとは、トイレタンクから便器へ水が流れていくのを止めているゴムやプラスチック製の栓です。水を流す際は、水洗レバーを押した力でフロートバルブが持ち上げられ、トイレタンクから便器へ一気に水を流します。経年劣化によりフロートバルブにヒビや欠けがあると、タンク底の排水口を完全に塞げなくなり、常に水が流れ出ている状態となってしまいます。このようなケースでは、フロートバルブの交換が必要です。

反対にタンク内の水位が通常よりも高くなっている場合は、ボールタップの異常が考えられるでしょう。

便器内で水が流れ続ける

便器内に流れる水が止まらない原因は、トイレタンク内の水が止まらない場合と同じ状況が考えられます。

破損や劣化が原因でフロートバルブが十分に機能していなかったり、本来の位置からずれたりしている場合、便器内に水が流れ続けてしまいます。また、オーバーフロー管の亀裂なども原因となり得るでしょう。

オーバーフロー管はトイレタンクの中で水位を保つ部品です。トイレが正常に動くためには正しく設置する必要がありますが、故障の際は自力での修理が困難なパーツです。詳しくは後述しますが、オーバーフロー管の故障や破損が疑われる際は、専門業者に依頼して修理する必要があります。

タンクレストイレの水が止まらない

一般的なトイレは背面に水の入るタンクがあり、中の構造がカラクリのように動くことで水の流れを制御しています。タンクレストイレには一般的なトイレのようなタンクの仕組みがなく、機械で水の流れを制御しています。

タンクレストイレの故障の対応となると、構造の修繕ではなく機械の修理になるため自分では対応できません。一般的なトイレの修理業者であってもタンクレストイレの場合は修理が困難なケースが多いため、業者ではなく、メーカーの窓口に問い合わせてみると良いでしょう。メーカー問い合わせ窓口は、メーカーのWebサイトやトイレの取扱説明書などで確認できます。

トイレの水が止まらないときの対処法

実際にトイレの水が止まらないときは、まず水を止め、それから原因を探る必要があります。水を止めたら、タンクの中を確認して原因を追求しましょう。先述のとおり、トイレの水が止まらない原因の多くが、トイレタンクの中にある部品の故障や破損にあります。直接確認することで、トイレの水が止まらない原因を把握できるでしょう。

ここでは、トイレの水の止め方からタンクの中を確認するまでの手順と、それぞれのポイントを解説します。

止水栓を閉める

トイレの水が止まらないときは、まず止水栓を閉めて水を止めましょう。止水栓は水道管とトイレの給水管との間にある部品で、普段はトイレの水勢を調整する役割を担っています。止水栓を閉めるとトイレへの給水が行われなくなるため、水を止めることが可能です。

止水栓は一般的に、トイレタンク付近の壁や床にあります。栓には溝があるだけで、手でひねることはできません。マイナスドライバーを使い、止まるまで右に回しましょう。このときのポイントは、ドライバーを何回転させたか覚えておくことです。元に戻す際は、同じ回数だけ左に回せば、元々の止水前の水勢を維持できるでしょう。

また止水栓の位置が分からない際やとっさに見つからないときは、水道の元栓を閉めるとトイレの水を止められます。水道の元栓は敷地内のメーターボックスの中にあることがほとんどです。

温水便座のコンセントプラグを抜く

温水便座を使用している場合は、止水栓を閉めた後にコンセントプラグを抜きましょう。コンセントにプラグを挿した状態で作業すると、感電や漏水によるケガ、温水便座の故障を引き起こす可能性があります。あらかじめ電源ごと抜いておくことが大切です。

水が止まらない原因が温水便座のエラーにあるときは、一度プラグを抜いてリセットすると症状が改善される可能性もあるので、様子を見てみましょう。

なおプラグを抜いた後はタンクを開けるため、水が跳ねることがあるかもしれません。抜いた後のプラグは、先端部分がぬれないように、ビニール袋で包むなどの対策をしておくのがおすすめです。

タンクのふたを開ける

次にトイレタンクのふたを開け、タンク内の水位がどの位置になっているかを確認します。ふたを外す際は、まず垂直に持ち上げてみましょう。そのまま外せることもありますが、手洗い管が接続されているケースもあります。この際は接続部分を外してください。

なお、トイレタンクのふたは陶器でできていることが多く、重量もあるため取り扱いに注意が必要です。ぶつけたり落としたりすると割れる可能性もあるので、慎重に開けることを意識しましょう。

タンク内の水が水位線よりも高い場合

タンク内を見て、水が標準の水位線よりも高くまで入っている場合は、ボールタップの水位調整、本体またはパッキンの交換、あるいは浮き玉の交換が必要です。水位線はオーバーフロー管に横線で書かれています。線よりも上に水がある場合は、ボールタップの状態を確認しましょう。

ボールタップかパッキン、浮き玉のいずれかが破損している場合は、破損した部分を交換することで水位を元に戻せます。破損を確認できたら、交換用の部品を用意しましょう。パッキンや浮き玉が破損している場合は、破損部分だけの交換でも構いませんが、ボールタップにサビが見られるなど劣化しているようであれば全体を交換するのもおすすめです。

ボールタップ、パッキン、浮き玉の交換手順は後述します。

タンク内の水が水位線よりも低い場合

タンク内の水位が線よりも低い場合、フロートバルブが劣化していないか、または水栓レバーとつなぐ鎖が絡まっていないかを確認します。

レバーの鎖が絡まって持ち上がった状態になっていたり、正しい位置からずれてすき間ができてしまったりしている際は、絡まっている鎖をほどいてフロートバルブの位置を戻すと、水流が改善するでしょう。

そうではなく、フロートバルブが劣化しているのであれば交換が必要です。ゴム製のフロートバブルの場合、劣化するとゴムが溶け、触ると指にゴムが付着します。フロートバルブに触ってみることで、劣化しているかどうかを確認できるでしょう。

フロートバルブの交換手順は後述します。

レバーに違和感がないかもチェック

トイレの水が止まらないのは、レバーが原因の可能性もあります。

トイレのレバーはタンクの中でフロートバルブと鎖でつなげられ、レバーを下げることで鎖を引き上げ、フロートバルブを持ち上げる役割を果たしています。したがって、レバーが破損していたりうまく動かなかったりすると、フロートバルブが正常に動作せず水が止まらなくなることもあります。

レバーを回したときに手応えがない、うまく回らないなどの違和感がないか確認しましょう。レバー動作に違和感がある場合は、レバーによってフロートバルブが半開きの状態になってしまっていたり、レバーの軸が折れたりしているのかもしれません。念のためレバー部分も破損がないか、チェックしておくと良いでしょう。

トイレの水が止まらないときに自分でできる対処法

トイレの水が止まらないとき、その原因がボールタップやフロートバルブなどであれば、自分で交換が可能です。部品はホームセンターや家電量販店などで販売されているため、自宅のトイレに合ったものを購入しましょう。

次項では、ボールタップ・浮き球、フロートバルブ、トイレレバーの3つについて、それぞれの交換手順を解説します。

ボールタップ・浮き玉を交換する方法

ボールタップや浮き玉が破損している場合は、破損部分だけを交換することも可能です。しかしボールタップと浮き玉はひとまとめで販売されているため、セットで交換するケースがほとんどです。

ボールタップの交換は以下のように行います。

必要な道具

  • 交換用のボールタップ
  • スパナ

交換手順

  1. 止水栓を閉め、コンセントプラグを抜いた状態で(原因を探す際と同じ手順で)タンクのふたを開ける
  2. レバーを引いてタンクの水を全て排出する
  3. スパナでトイレタンク外側にあるナットやパッキンを外し、給水管から古いボールタップを取り外す
  4. 反対の手順で、スパナで新しいボールタップを取り付ける
  5. ふたを戻して止水栓を開け、水を注入して動きを確認する

中には自分で外すのが困難なボールタップもあるため、スムーズに外れない場合は無理をせず、業者に修理してもらう方が良いでしょう。

フロートバルブを交換する方法

先述のとおり、ゴム製フロートバルブに触ると指が汚れたりゴムが崩れたりする場合は、交換が必要です。また耐用年数を考えると、7年以上使用しているフロートバルブは劣化している可能性があるため、交換した方が良いでしょう。

フロートバルブの交換は以下のように行います。

必要な道具

  • 交換用のフロートバルブ

交換手順

  1. 止水栓を閉め、コンセントプラグを抜いた状態で(原因を探す際と同じ手順で)タンクのふたを開ける
  2. レバーを引いてタンクの水を全て排出する
  3. レバー内側のフックから、鎖ごとフロートバルブを外す
  4. 新しい鎖とフロートバルブを取り付ける
  5. 古いものを参考に、鎖の長さを調整する
  6. ふたを戻して止水栓を開け、水を注入して動きを確認する

フロートバルブの形状には、丸いものと半球型のものがあります。交換用のフロートバルブを購入する際は古いものをよく見て、同じ形状のものを選ぶことが大切です。

トイレレバーを交換する方法

トイレの水が止まらない原因を探っているときに、レバーが回しにくかったり、鎖を直しても動作がおかしいと感じたりした場合は、レバーの軸が折れている可能性があり交換が必要です。

レバーの交換は以下のように行います。

必要な道具

  • 交換用のレバー
  • スパナ

交換手順

  • 止水栓を閉め、コンセントプラグを抜いた状態で(原因を探す際と同じ手順で)タンクのふたを開ける
  • レバーを引いてタンクの水を全て排出する
  • フロートバルブの鎖をレバーから外す
  • タンク内側のナットをスパナで緩め、レバーを外す
  • 新しいレバーを取り付け、ナットを締める
  • フロートバルブの鎖を取り付け、鎖の長さを調整する
  • 止水栓を開け、水を注入して動きを確認する

通常、新しいレバーにはゴムパッキンが付属しています。レバー部分からの水漏れを防ぐため、交換時はパッキンも新しいものに交換しましょう。

トイレの水が止まらないとき、自分ではできない対応

トイレの水が止まらない原因が分かっても、自分で対応できないことがあります。それは、先述したオーバーフロー管の異常と、屋外部分の異常です。

トイレなど家の中のものが故障したとき、できれば自分で対処したいと考える方は多いでしょう。しかし細かい部分や難易度の高い部分を素人が直そうとすると、かえって大きな故障につながってしまう可能性があるため、専門の業者に任せましょう。

以下では、それぞれ自分で対応しない方が良い理由を解説します。

オーバーフロー管の交換

オーバーフロー管の交換は、トイレタンクを便器から取り外す大掛かりな作業を伴います。

トイレタンクから水があふれないよう調整する役割を持つオーバーフロー管は、トイレタンクに対して縦向きに取り付けられており、下側はフロートバルブのさらに下部、便器側の管につながっています。修理作業は他の部品を交換するよりも難しいため、業者に修理を依頼した方が安心です。

屋外のパイプの修理

トイレタンクの中や目に見える部分に水が止まらない原因が見当たらないときは、床下や地中に埋設された配管(パイプ)に経年劣化や不具合が起きている可能性があります。目に見える範囲に原因がないため、原因を解明する段階から業者に依頼しなければなりません。

自分で原因を解明しようとしても、トイレタンクの中以外は判別のつかないことが多いでしょう。とりわけ屋外のパイプが原因と考えられる際は、どのパイプがどのように異常を来しているのか、素人では判断できません。

したがってトイレトラブルの原因がタンク内に見当たらない場合や、トイレにつながる排水管から水漏れしている場合は、すぐに業者に連絡することをおすすめします。

自分で対応できない、原因が分からない場合は業者に依頼

トイレの修理に自信がなく不安な方や、タンク内部を見ても原因が分からないときには、無理をせず業者に相談し、対応してもらいましょう。

ボールタップやフロートバルブなら、先述のとおり自分で修理することは可能です。しかし新しい部品といっても、メーカーや機種ごとにさまざまな種類があり、どれを購入したら良いかが分からないこともよくあります。トイレ自体が古い場合などは、全く同じ型番のものがすでに販売されていないこともあり、合致する部品を探すのは一苦労です。

また無理に自分で修理しようとすると、水漏れがひどくなったり問題のなかった部品まで壊れてしまったりと、二次被害が起こる可能性もあります。その点、早い段階で業者に相談すれば、最低限の期間・費用でトラブルを解決できるでしょう。

業者にトイレ修理を依頼するときの費用相場

トイレの水が止まらないとき、業者に対応を依頼するとどの程度の費用が掛かるのか不安な方も多いでしょう。修理費用の相場は、以下のとおりです。

  • タンク内部品交換(タンク着脱なし):6,000〜12,000円
  • タンク内部品交換(タンク着脱あり):11,000〜30,000円

タンク着脱なしの部品交換は、ボールタップやフロートバルブ、トイレレバーといった、タンクの取り外しを必要としない部品交換です。対して、タンク着脱ありの部品交換は、オーバーフロー管などタンク着脱を伴う工事となります。

屋外のパイプ工事などが入ると別途費用が掛かりますが、家の構造など現場の状況によって費用が異なるため、一概にはいえません。いずれにしても工事を依頼する際は、念のため複数の業者から相見積もりをもらうと安心です。

トイレ修理はミヨシテックにお任せ!

トイレの水が止まらないとき、自分で適切に部品を交換できれば、修理費用を最低限に抑えることができます。しかしトイレに合った部品の判断が難しいケースや、取り寄せに時間が掛かるようなケースもあるでしょう。迅速に、失敗なく修理をするには、業者に依頼するのがおすすめです。

ミヨシテックでは、大阪エリアで水回りや電気・ガス・空調などの修理、リフォーム工事を承っています。突然のトイレトラブルもミヨシテックならすぐに駆けつけ、スピード対応が可能です。大阪でトイレのトラブル対応・修理を依頼する業者をお探しの方は、ぜひミヨシテックにご相談ください。

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