トイレは家族が毎日使う場所なので、なるべくきれいにしておきたいものです。しかし、よく見ると壁や床などの見える部分以外にもカビ汚れが点在しているので、お掃除に苦労している方も多いでしょう。トイレのカビは気付いたときに掃除すれば簡単に落とせますが、放置するとこびりついて落ちにくい場合があります。
本記事ではトイレのカビを掃除したい方に向けて、床や便器など場所ごとのカビの落とし方、予防方法などを解説します。カビがこびりついて落ちない場合やトイレの買い替えが必要なケースも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
カビは、カビ菌が繁殖する条件さえ満たせば1年中どこにでも発生します。特に降水量が多く湿度が高い梅雨の時期は、カビの繁殖に適した時期です。
カビ菌が繁殖する条件は温度が25〜30度、湿度は60~80%以上です(※)。水の使用頻度が高く、湿度の高い浴室や結露した窓際などで発生しやすいです。また、トイレは密室で気温が高くなりやすいことに加え、貯水タンクや便器に水がたまっているため、カビ菌の繁殖条件がそろいやすい場所といえます。手洗いや用を足した際に、水や尿のしぶきが床にはねて湿気が高くなったり汚れの原因になったりするおそれもあります。
参考:カルモアカビ分析対策センター.「カビについて」. https://www.fungus-analyst.com/fungus/,(参照2024-01-25)
カビは、人体に悪影響を及ぼす場合があります。空気中に浮遊するカビ菌の胞子が体内に入ると、アレルギー性皮膚炎や結膜炎などのアレルギー症状を引き起こします。気道や肺に炎症が起こることで、重度の喘息または肺炎を引き起こすリスクも高まります。トイレ内はカビが発生しやすい傾向があるため、以下のような場所は特に注意が必要です。
便器や洗面台の水たまりは、トイレ内の湿度を上げる原因の一つです。また、乾燥しがちな冬でも窓に結露が発生すると、カビが繁殖しやすい環境が整ってしまいます。気密性が高いトイレの壁の四隅はホコリや湿気がたまりやすいため、カビが発生しやすいです。
自分や家族の健康を守るには、定期的にトイレの掃除を行うことやカビ菌が繁殖する前の予防をすることが必要です。
トイレにはいくつかの種類があり、主に次の3つに分けられます。それぞれの特徴やカビが発生しやすい場所を確認しましょう。
組み合わせトイレは便座と便器が独立しているトイレのことで、どちらかに不具合が生じても便座だけ・便器だけを取り外して交換できることが特徴です。貯水タンクがあるので、高層階にある住宅のように水圧が低い場所でも使用できます。カビが発生しやすい場所は、便座と便器の隙間や凹凸のある便器の内側とタンク内です。
一体型トイレは便器と便座、タンクが一体化しているトイレを指します。隙間や凹凸が少なく、拭き掃除がしやすいことが特長ですが、故障した場合はトイレごと買い替えが必要になります。カビが発生しやすい場所は、タンク内と便器の内側です。
タンクレストイレは、タンクがなくスタイリッシュでコンパクトなのが人気のトイレです。タンクがないため掃除がしやすいものの、停電時は水が流れず使用できなくなります。カビが発生しやすい場所は、便器の内側です。
カビの落とし方は発生している場所によって異なるため、それぞれの掃除方法を把握する必要があります。便器やタンクに発生したカビを落とす方法をはじめ、壁や床に発生したカビの落とし方も解説します。
まずは、トイレのカビを落とすために必要なものを用意してから、掃除を始めましょう。
トイレのカビを落とす際に必要なものは、次のとおりです。
マスクとゴーグルは、洗剤や空気中に浮遊するカビ菌の胞子が体内に侵入するのを防ぐために必要です。カビの胞子を吸い込むと喘息や肺炎などのリスクが高まるため、必ずマスクとゴーグルを装着してください。
また、素手で洗剤に触れると手荒れの原因になるため、掃除する際はゴム手袋を装着します。トイレのカビを落とす際は洗剤がはねて服が変色する可能性もあるため、変色したり汚れたりしても問題のない衣服に着替えてから掃除を始めましょう。
便器の内側は、死角になりやすい便器の縁の裏側にも汚れやカビが付着しているため、角度の付いたトイレブラシがあると便利です。トイレブラシでこすっても落ちないカビには、カビ取り用塩素系洗剤を使用しましょう。
トイレのカビを落とす際の注意点は、塩素系と酸性の洗剤を混ぜて使用しないことです。塩素系と酸性の洗剤を混ぜると刺激臭のある有毒ガスが発生し、ガスが目や鼻、喉などの粘膜に触れると強い痛みが起こります。換気していない場所で有毒ガスが発生すると、ガス中毒を引き起こすおそれもあります。
安全にトイレ掃除をするために、窓を開けたり換気扇を回したりして換気しましょう。
便器の掃除に必要なものは、トイレブラシとカビ取り用塩素系洗剤です。洗剤は、重曹とクエン酸でも代用できます。まずは、塩素系洗剤を使用したカビの落とし方を解説します。
次に、重曹とクエン酸を使用したカビの落とし方を確認しましょう。
重曹とクエン酸、水が混ざり合うと人体に無害な炭酸ガスが発生し、カビが落ちやすくなります。
壁の掃除に必要なものは、消毒用エタノールと乾いた雑巾です。壁に塩素系洗剤を使用すると壁紙が変色するおそれがあるため、使用は避けましょう。
消毒用エタノールがない場合は、重曹水とクエン酸水で代用できます。
重曹はカビを落とすのに有効な上に、除菌や消臭効果も期待できるため、カビの予防にもおすすめです。ただし、壁紙の素材によって変色する場合があるため、重曹を使用する際は目立たない場所で変色しないか確かめてから、壁全体に使用しましょう。
床の掃除に必要なものは、消毒用エタノールと雑巾です。トイレ用のお掃除シートは使用後に捨てられるので、床の掃除におすすめです。
カビが床に貼られたタイルの溝に生えたり、床とトイレの隙間にこびりついたりした際は、重曹ペーストとクエン酸水で落とせる場合があります。
重曹は、アルカリ性のため酸性のカビを中和してくれます。重曹ペーストは重曹水よりも重曹の濃度が高く、こびりついたカビを落とすのに有効です。
トイレのタンクは、組み合わせ型と一体型の2種類があります。それぞれのタンクは仕組みが違うため、カビの落とし方が異なります。ここでは、種類別のタンクと温水洗浄便座(ウォシュレット・シャワートイレ)のカビの落とし方を確認しましょう。
組み合わせ型タンクの掃除に必要なものは、次のとおりです。
タンクのカビは以下の手順で落としましょう。
掃除後は洗浄レバーを回す、もしくはトイレの水洗ボタンを押し、問題なく水が流れることを確認します。タンク内にゴム製や金属製の部品がある場合は、塩素系洗剤を使用すると部品が劣化するので、中性洗剤で代用しましょう。
一体型タンクは蓋がなく、タンクの内部がどの程度汚れているのかを確認できない上に、スポンジや歯ブラシでこすり洗いができません。そのため、一体型タンクの汚れやカビを落とす場合は、トイレタンク専用の粉末洗浄剤を使用します。
トイレタンク専用の洗浄剤は、パッケージに記載されている使用量を守ることが大切です。洗浄剤を放置する時間は種類によって異なるため、記載されている時間を目安に放置しましょう。
温水洗浄便座のノズルのカビを落とす場合は、次のものを用意しましょう。
ノズルのカビは次の手順で落としましょう。
ノズル専用のボタンがない温水洗浄便座は、電源プラグを抜いてからノズルをつまみ出してカビを落とします。ノズルのお手入れ方法について、一部の市販洗剤は適さない場合があるので、必ず取扱説明書を確認してください。
カビはきれいに落としても、繁殖条件がそろえばすぐに発生します。カビのない清潔なトイレを維持するには、カビを予防する必要があります。トイレは特にカビが発生しやすい場所のため、カビ予防ができれば普段の掃除もしやすくなるでしょう。
トイレのカビ予防で大切なことは、換気と小まめな掃除です。具体的なカビ予防の方法を解説するので、トイレのカビを予防する際に役立ててください。
カビは温度と湿度が高い環境で発生するため、換気を心がければカビの発生を予防できます。換気するとトイレ内の温度と湿度が下がり、カビ菌が繁殖しやすい環境になるのを避けられるためです。トイレに窓がある場合は、数時間開けて換気しましょう。
ただし、雨の日は窓を開けると湿気が入り、トイレ内の湿度が高くなるため逆効果です。また、天気が良くてもトイレの窓を開けたまま外出すると、急な雨でトイレ内の湿度が上がる可能性があります。防犯上のリスクも高まるため、窓は在宅時に開けることをおすすめします。
トイレに換気扇が付いている場合は、換気扇を24時間稼働させれば温度や湿度が下がりやすくなり、カビの発生を抑えやすくなるでしょう。
タンクや便器にカビが発生するのを防ぐには、タンク内を清潔に保つことを意識しましょう。特に重曹や消毒用エタノールは、カビを落とす際に役立つだけでなく、カビ予防にもおすすめです。
定期的な掃除で便器をきれいにしても、タンク内が汚れていると水を流す度に汚れた水が便器に流れるため、カビが発生しやすくなります。また、タンクや便器にカビが発生するとカビ菌が空気中に浮遊して床や壁などに付着し、カビが広範囲に発生するため注意が必要です。清潔な便器を保つために、タンク内と便器を常にきれいにしておきましょう。
カビを予防するには、トイレ掃除を小まめに行うことが大切です。便器だけでなく、床や壁なども定期的に掃除すればカビの繁殖を抑えられます。
また、結露が付着した窓を放置するとトイレ内の湿度が高くなり、カビが発生する原因になります。結露が付いたら乾いた雑巾で拭き取りましょう。結露が発生する度に拭くのが面倒な場合は、結露防止テープを窓ガラスに貼るのがおすすめです。
トイレを清潔に保つためには、普段掃除する機会が少ない場所もきれいにしましょう。例えば次の場所が挙げられます。
タンクや便器の内側はカビが発生しやすいため、定期的に掃除する方も多いでしょう。しかし、タンクや便器の裏側は汚れが見えにくく、掃除する際に見落としがちな場所です。また、床や壁などは水しぶきや尿しぶきがはねている場合もあり、汚れやすくカビも発生しやすいです。
便器に比べて天井やドアは汚れが付きにくいものの、空気中に浮遊するカビ菌が付着するとカビが繁殖するおそれがあります。窓のサッシや換気扇はホコリがたまるとカビが発生しやすくなるため、水拭きして汚れを落としてから消毒用エタノールで拭きましょう。
カビの存在を目で確認できなくても、カビ臭さを感じた場合はカビが発生していると考えましょう。カビ臭さは、カビ菌が繁殖する際に排出する老廃物が原因です。床や壁の表面に薄くカビが生えている場合は、ホコリと見間違えやすく目立たないため、カビを見落とす可能性があります。
特に、トイレは換気が不十分だと温度や湿度が上がってカビが発生しやすい環境がそろい、カビ臭さが室内にこもってにおいが強くなります。カビ臭いと感じた場合は、トイレの隅々まできれいに掃除してカビを落としましょう。トイレを掃除した後でもカビ臭さを感じる場合は、見落としている場所がないか確認するのがおすすめです。
掃除してもなかなか落ちないカビには、次に挙げる二つの対処法を試してみてください。
一つ目は水垢や尿石による汚れの可能性を疑い、それぞれに適した方法で掃除を行うことです。トイレは水しぶきや尿しぶきでも汚れやすく、水分が蒸発して乾燥すると水垢や尿石が残り、蓄積すると黒ずむため黒カビに見間違える場合があります。塩素系洗剤で掃除してもカビが落ちない場合は、黒カビ以外の汚れを疑いましょう。
もうひとつの対処法は、掃除のプロに任せることです。カビを落としてもすぐにカビが生える場合は、表面がきれいになって見えるだけでカビの根元が残っている可能性があります。カビの根元から除去しなければカビは繁殖し続けるため、カビ取りのプロに掃除を依頼するのも一つの方法です。カビを落とした後に防カビ剤を吹きかけるサービスを提供する会社もあるため、サービス内容を確認してから依頼すると良いでしょう。
トイレは温度や湿度が上がりやすく、カビの繁殖条件がそろいやすい場所です。カビは喘息や肺炎などの健康被害を引き起こすおそれがあるため、掃除をしっかり行いカビを予防することが大切です。もしも、カビを落としてもすぐに発生する、カビの状態がひどく市販の洗剤では落とせない場合は、カビ取りや防カビに対応できる株式会社ミヨシテックにご相談ください。
株式会社ミヨシテックでは、カビ除去用の液剤の噴霧や塗布してカビを分解し除去します。カビ取り後は防カビ剤を吹き付けることで、カビの発生を予防できます。トイレのリフォーム工事にも対応しているため、万が一に備えてトイレの買い替えを検討している方も気軽にお問い合わせください。