日本人とトイレの関係は、世界的に見てもかなり独特です。海外から訪れた観光客が驚くことのひとつが「ウォシュレット(温水洗浄便座)」。温水でお尻を洗うという発想は、欧米やアジアの一部には存在するものの、日本ほど一般家庭にまで普及している国はほとんどありません。最新の調査によると、日本国内の普及率は8割を超えており、いまや「日本のトイレ文化の象徴」と言っても過言ではないでしょう。
とはいえ、これほど普及しているにもかかわらず、ウォシュレットをめぐる意見は大きく分かれます。「一度使ったら手放せない」「清潔で快適」という“必要派”がいる一方で、「水道代や電気代が気になる」「公共トイレでは衛生面が不安」と感じる“いらない派”も少なくありません。どちらの声にも一理あり、「便利だから必須」と言い切るのも、「無駄だから不要」と断言するのも難しいのが現実です。
ちなみに筆者自身は「いらん派」です。普段、自宅でも外出先でも洗浄機能を積極的に使うことはほとんどなく、あえて言えば水道代や衛生面の不安が理由です。公共トイレで見かけるウォシュレットは、ボタンやノズルの清掃状況が気になって触る気になれません。ところが、そんな私でも「冬の便座あたため機能だけは絶対に欲しい」と思っています。冷たい便座に座ると体が一気に緊張してしまうあの感覚は、誰にとっても避けたいものではないでしょうか。
つまり「ウォシュレット」と一口に言っても、「お尻を洗う機能」だけではなく、便座暖房・脱臭・自動開閉といった複数の便利機能がセットになっています。そのため「必要か不要か」を語るとき、実際には「どの機能を使いたいか」「どこに価値を見いだすか」という観点で考えることが大切になります。
この記事では、ウォシュレットをめぐる「いる派」と「いらない派」それぞれの意見を整理しつつ、筆者自身の体験も交えて「結局どう選ぶのがベストなのか」を探っていきたいと思います。
目次
ここで一度、「ウォシュレットとは何か?」を整理しておきましょう。多くの人は日常的に「ウォシュレット」という言葉を使っていますが、実はTOTOが販売する製品の商標名です。本来の一般名称は「温水洗浄便座」で、LIXILやPanasonicなど他メーカーからも同様の製品が販売されています。
とはいえ、日本ではTOTOの知名度が圧倒的で、1980年に発売された「ウォシュレット」は瞬く間に広がり、今では温水洗浄便座そのものを指す言葉として定着しました。たとえば「セロハンテープ=セロテープ」「コピー機=ゼロックス」と同じように、商標が一般名詞のように使われるようになったわけです。
さらに、ウォシュレットといえば「お尻を洗う機能」だけだと思われがちですが、実際にはさまざまな機能を組み合わせた総合トイレ機器になっています。代表的なのは以下のような機能です。
こうした機能の充実が、「ウォシュレットがあると生活の質が上がる」と感じる人を増やした大きな理由です。
この記事でも、あえて「温水洗浄便座」ではなく「ウォシュレット」という表記を中心に用います。そのほうが皆様にとってなじみがあり、読みやすいからです。ただし裏を返せば「ウォシュレット=温水洗浄便座のこと」と理解しておくと、他メーカーの製品を選ぶときにも迷いにくくなります。
「ウォシュレットは絶対に必要」と考える“いる派”の人たちの声には、いくつか共通点があります。それは単なる「贅沢な快適装置」ではなく、清潔・健康・快適・もてなしといった暮らしに直結する要素があるという点です。
まず大きいのは「清潔感」でしょう。トイレットペーパーで拭くだけでは、どうしても拭き残しや不快感が残る場合があります。特に夏場など汗をかきやすい時期は「ちゃんと拭けているかな?」と気になる人も多いもの。ウォシュレットは水で洗い流すため、より確実に清潔さを保てるという安心感があります。
実際、女性や高齢者に支持されやすいのもこの理由です。女性は生理中の不快感を和らげたり、デリケートゾーンのケアに役立ったりと、日常的に助けられる場面が多い。また高齢者にとっては、紙で力を入れて拭くことが難しかったり、皮膚が弱って摩擦に弱くなったりするため、やさしく洗えるウォシュレットは大きな味方となります。
痔や便秘といった排便トラブルに悩む人にとっても、ウォシュレットはありがたい存在です。トイレットペーパーで強く拭くと患部を刺激して悪化する恐れがありますが、温水で洗い流せば摩擦を最小限にできます。お湯の温度や水圧を調整すれば、症状に合わせた優しいケアが可能です。
また、産後の女性にとってもウォシュレットは心強い存在。出産後は体がデリケートな状態にあるため、紙での拭き取りが負担になるケースが少なくありません。温水で優しく洗えることで、衛生的かつ快適に過ごすことができます。つまり、ウォシュレットは単なる便利機能ではなく「健康を守るサポート機能」としても評価されています。
ウォシュレットの魅力は、お尻を洗うだけにとどまりません。便座をあたためる「暖房便座」、嫌なにおいを自動で吸い込む「脱臭機能」、フタや便座を自動で開閉するオート機能など、日常の小さなストレスを減らしてくれる工夫がたくさん詰まっています。
冬の朝、ひんやり冷たい便座に腰を下ろすのは誰にとっても苦痛ですが、暖房便座があればその不快感から解放されます。脱臭機能があれば家族が続けて使うときも気持ちよく過ごせるし、自動開閉機能は腰への負担が少ないため高齢者に優しい。こうした機能の積み重ねが「ウォシュレットがあると生活の質が一段階アップする」と感じさせる理由になっています。
来客時のことを考えても、ウォシュレットはプラスに働きます。日本ではすでに8割以上の家庭に普及しているため、「ついていて当たり前」と思う人も少なくありません。特に女性客や海外からの訪問者にとっては、ウォシュレットがあると安心感や快適さが高まります。
「うちに泊まったお客様が『トイレが快適で助かった』と言ってくれた」など、実際に喜ばれる場面も多くあります。おもてなしの一環としてウォシュレットを設置しておく、というのも“いる派”の意見のひとつです。
最後に、“いる派”の人がよく挙げる具体的なシーンをいくつか紹介します。
こうした日常の細やかな場面において、ウォシュレットは「暮らしをラクにし、ちょっとした安心をもたらす存在」として評価されているのです。
日本国内では8割以上の世帯に普及しているウォシュレットですが、誰にとっても万能というわけではありません。便利さを認めつつも「やっぱり自分には不要だ」と感じる“いらない派”の意見も根強く存在します。ここでは代表的な理由を整理してみましょう。
ウォシュレットを使用すると、そのたびに水と電気を消費します。1回あたりは数円程度でも、家族全員が毎日使えば年間で数千円〜一万円近い出費になることも。加えて、便座の保温や温水タンクの待機電力もかかります。家計を引き締めたい人や、省エネ志向の人にとっては「なくても困らないなら外したい」と思う要因になります。
ウォシュレットは精密な電気製品でもあるため、長年使っていると故障のリスクが避けられません。ノズルの動作不良や水漏れ、電気系統のトラブルなど、修理や交換には費用がかかります。シンプルな便座なら壊れる要素が少ないため「長く安心して使える」という考えから、あえて機能を減らしたトイレを選ぶ人もいます。
いらない派が特に気にするのが衛生面です。公共トイレや職場のトイレに設置されているウォシュレットは、多くの人が使うためノズルの清潔さを不安視する声があります。メーカー側は自動洗浄機能を備えて改善していますが、「他人が使った後のものに直接触れる感覚」が気になる人にとっては、どうしても心理的なハードルが残ります。その結果、家でも「使わなくていいや」となり、ウォシュレットそのものを不要と感じるようになるケースがあります。
実際にウォシュレットを使わない人に理由を聞くと、「なくても特に困らない」というシンプルな答えが返ってくることが少なくありません。トイレットペーパーで十分に清潔が保てていると感じる人や、シャワーや入浴で全身を清潔にしている人にとって、ウォシュレットは「なくても支障のない機能」です。特に世代が上の方ほど「長年の習慣で問題がなかったから」という理由で必要性を感じない人が多い傾向にあります。
いらない派の中には「ウォシュレットを使うと体に合わない」と感じる人もいます。例えば、水流の刺激によってお腹が落ち着かなくなったり、体調によってはかえって不快に感じたりすることがあるのです。言い換えれば、ウォシュレットは快適に感じる人が多い一方で、使用によって体のリズムに影響を受ける人も一定数存在する、ということです。こうした人にとっては「無理して使うくらいなら、最初から必要ない」という結論に至るのも自然でしょう。
最近は「必要最低限の機能で十分」というミニマル志向の人も増えています。掃除の手間を減らしたい、余計な機能はいらない、シンプルで清潔な空間にしたい──そんな価値観から、ウォシュレットを取り外して一般的な便座に交換する人もいます。「壊れる心配が少ない」「掃除がラク」という実利的な理由と、「シンプルなほうが落ち着く」という感覚的な理由が重なり、いらない派を後押ししています。
このように、ウォシュレットを不要と考える背景には「コスト」「故障リスク」「衛生面」「体調への影響」「ミニマル志向」といった複数の要因があります。どれも個人の価値観や生活環境に直結しているため、「いらない派の主張にはまったく根拠がない」と片付けることはできません。
正直に言うと、私は普段ウォシュレットの洗浄機能をあまり使いません。
理由はシンプルで、水道代が気になるのと、公共トイレでは衛生的に不安だから。
外出先で見かけても「ノズル大丈夫かな?」と思ってしまい、結局使わないまま出ることが多いです。
そんな私でも「これだけは欲しい」と思うのが便座のあたため機能。
冬の朝に冷たい便座に座った瞬間の、あの「ヒヤッ!」は本当に苦手です。
ほんのり温かいだけで安心できるし、朝の気分も全然違います。
「ウォシュレット」と聞くと“お尻を洗う機能”だけを思い浮かべがちですが、実際は暖房便座・脱臭・自動開閉などいろんな機能がセットになっています。
だから私は「洗浄はいらない派」だけど、「あたためは絶対欲しい派」という立ち位置。
結局、全部の機能を使う必要はないんですよね。
洗浄を使わないならオフにしておけばいいし、欲しい機能だけ選んで活用すれば十分。
私のように「いらんけど、ここだけは欲しい」と思う人は、案外多いんじゃないでしょうか。
ここまで「いる派」「いらない派」、そして筆者自身の立場を紹介してきましたが、最終的にたどり着く答えはとてもシンプルです。
ウォシュレットは“絶対必要”でもなければ“完全に不要”でもない。人それぞれの暮らし方や価値観に合わせて選べばいい。
「電気代や水道代をできるだけ減らしたい」人にとっては、洗浄機能を使わず、便座あたためだけ備えたモデルで十分。最近は瞬間暖房便座や省エネ設計の製品も増えているので、快適さと節約を両立できます。
逆に「肌にやさしくケアしたい」「家族の健康を守りたい」と考える人にとっては、洗浄機能や脱臭機能は大きなメリットです。特に痔や便秘に悩んでいる人、産後ケアが必要な方にとっては、ウォシュレットはただの“便利機能”ではなく“生活の必需品”になることもあります。
今は自分が使わなくても、将来親の介護で必要になるかもしれないし、来客が使うかもしれません。「自分は不要でも、家族やお客様のために設置しておく」という考え方もあります。
結局のところ大事なのは「ウォシュレットをつけるかどうか」ではなく、「どの機能を選ぶか」という視点です。
このように、自分や家族の生活スタイルに合わせてカスタマイズすれば、納得感のあるトイレ空間になります。
トイレは毎日使う場所だからこそ、妥協や我慢を重ねるとストレスになります。逆に、自分に合った機能を選ぶだけで、暮らしの満足度が大きく上がります。
ウォシュレットに対して「いる」「いらない」と議論するのもいいですが、最終的には“自分や家族にとってちょうどいい形”を見つけることが何より大事なのではないでしょうか。
ウォシュレットは「いる派」「いらない派」で意見が分かれる設備ですが、ここまで見てきたように、結局は人それぞれの生活スタイルに合わせて選べばいいというのが答えです。
ただし実際に商品を選ぶ段階になると、カタログだけでは違いがわかりにくく、「洗浄機能の有無」「便座あたための方式」「掃除のしやすさ」など細かな違いが見落とされがちです。特に最近は各メーカーが独自の技術を打ち出しており、TOTO・LIXIL・Panasonicなどを比べると、本当に多彩なラインアップがあります。
例えば
このように「いる・いらない」を超えて、“どの機能が自分に合うか”を考えることが大切です。
ミヨシテックでは、寝屋川・枚方エリアにあるミライエショールームで、TOTO・LIXIL・Panasonicなど複数メーカーの最新トイレ21台展示中で実際に見て・触って比較できます。カタログやネットだけではわかりにくい「座り心地」「ボタン操作のしやすさ」「便座のあたたかさ」なども体感していただけます。お客様用トイレ(男性用)にはTOTOの最高級トイレネオレストNXをご利用いただけます!ご相談もお見積りも無料ですので、ぜひお越しください!
さらに、施工からアフターメンテナンスまで一貫して対応できるのも、地域密着の工事店ならではの安心ポイントです。「ウォシュレットって本当に必要?」「どんなタイプを選んだらいいの?」と悩んでいる方も、まずはお気軽にご相談ください。
トイレは一日の中で何度も使う大切な空間。だからこそ、自分や家族にとって“ちょうどいいトイレ”を選ぶことが、毎日の快適さにつながります。ミヨシテックはそのお手伝いを全力でいたします。