お風呂をバリアフリー化するポイントは? 浴槽や設備のリフォーム費用、補助金も紹介!

更新日:2024.10.05

お風呂

年齢によって、過ごしやすいと感じる住空間は異なります。特に水回りは高齢者や小さな子どもにとって危険が潜んでいるケースが少なくありません。

安心・安全に暮らせるよう、お風呂のバリアフリー化を検討する際は、どのようなポイントを意識すれば良いのでしょうか。本記事では、お風呂をバリアフリー化した方が良い理由やリフォームにかかる費用、利用できる補助金について解説します。

お風呂をバリアフリー化した方が良い理由

まずは、お風呂をバリアフリー化した方が良い理由を見ていきましょう。将来に備えてバリアフリー化することで、長く快適に使いやすくなります。

高齢者の転倒や事故を防ぐ

お風呂をバリアフリー化することで高齢者の転倒や事故を防ぐことができます。厚生労働省の「人口動態調査」によると、65歳以上の不慮の事故による死亡数は「転倒」「窒息」「溺水」の順に多く、溺水に限ってはお風呂での事故が全体の約8割を占めているという結果が公開されています。

洗い場のぬれた床は滑りやすいため、歩くときや立ち上がるときに注意が必要です。また浴槽が深すぎるのも、転倒や溺水の原因となります。高齢者がお風呂で転倒すると、骨折をはじめとする重大なけがにつながる可能性があります。高齢者は軽く転んだだけでも骨折してしまうリスクがあるため、お風呂のバリアフリー化を行い安全に入浴できる環境を整えることが大切です。

※ 参考:e-Stat 政府統計の総合窓口.「人口動態調査」“不慮の事故による死因(三桁基本分類)別にみた年齢(特定階級)別死亡数 2023年 ”. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450011&tstat=000001028897&cycle=7&year=20230&month=0&tclass1=000001053058&tclass2=000001053061&tclass3=000001053065&stat_infid=000040206156&result_back=1&tclass4val=0,(参照 2024-09-20).

※ 参考:消費者庁.「別添 高齢者の事故に関するデータとアドバイス等」.https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_067/assets/consumer_safety_cms205_221227_02.pdf ,(参照 2024-08-31).

介護者が便利になる

バリアフリー化することで、介護する側と介護される側の双方にとって、便利で快適な空間に生まれ変わります。まず入浴介助では、介護の内容に合わせて、さまざまな体勢をとらなければなりません。狭いスペースで入浴介助をしようとすると、介護する側の肉体的な負担が大きくなります。無理な体勢で介護をし続けると、腕や肩、手足を痛める原因となるかもしれません。

介護される側にとっても、設備が充実している浴室は心身の負担軽減につながります。手すりを設置したり、またぎやすい浴槽に交換したりするなど、高齢者ができるだけ自力でお風呂に入れる環境を整えましょう。自分で入浴する機会が増えることで、適度に身体を動かすことができ、健康な状態を維持しやすくなります。

お風呂のバリアフリー化とは?リフォームするポイント・費用相場

お風呂のバリアフリー化では、具体的にどこをどのようにリフォームすれば良いのでしょうか。ここでは、リフォームすべきポイントや費用の相場を解説します。

手すりを設置する

手すりの設置は、代表的なバリアフリー化の施工の一つです。歩くときや立ち上がるときに手すりを利用することで、転倒のリスクを軽減できます。具体的には、以下のような場面で手すりが役立ちます。

  • 浴室や浴槽への出入り
  • 洗い場の移動
  • 洗い場での立ち座り
  • 浴槽内での立ち座り

お風呂では、浴槽をまたぐときの手すりの設置が欠かせません。浴槽は深さがあるため、浴室の作りによっては入るときと出るときで必要となる手すりの高さが異なる点にも注意しましょう。手すりを設置する工事費用の目安は、5,000円〜6万円です。手すりをいくつ設置するかによっても費用は変動します。

段差をなくす

お風呂のバリアフリー化では、出入口の段差をなくすことも重要なポイントです。具体的には、脱衣所と浴室の段差は2cm以下が理想的といわれています。

つまずきを防止するには、段差を完全になくすのが望ましいですが、段差がなくなることで脱衣所に水が流れ込むリスクが高まります。段差を完全になくす場合は、排水機能を設ける必要があり、工事の規模も大きくなることを考慮しておきましょう。車椅子やシャワーキャリーの利用を想定するなら、スロープの設置も選択肢の一つです。

段差をなくす方法にはさまざまな種類があるため、費用も5万円〜25万円と幅があります。使い勝手と費用のバランスを考えながら、具体的なプランに落とし込んでいきましょう。

滑りにくい床にする

お風呂のバリアフリー化では、床の材質にもこだわりましょう。材質選びのポイントは次の通りです。

  • 滑りにくい
  • 水はけが良い
  • 柔らかい
  • 掃除がしやすい
  • 保温性に優れている

滑りにくい床材を選び、水はけも重視することで転倒を防止できます。転倒してしまった場合に備えて、クッション性のあるタイプを取り入れるのもおすすめです。また床の清掃性も確認しておくと、快適に使いやすくなります。水はけの良い床は、カビの発生を抑制でき、掃除の手間も削減できます。

高齢者の入浴では、ヒートショック対策も欠かせません。ヒートショックとは、気温の急激な変化によって血圧が上下し、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす現象です。お風呂はヒートショックを引き起こしやすいため、保温性に優れた床に変えるなどの対策が必要となるでしょう。床のバリアフリー化の費用は、浴室の広さによっても変わりますが、5万円〜20万円が相場です。

浴室暖房を導入する

ヒートショック対策の一つに「浴室暖房を導入する」という方法があります。浴室暖房機を使えば浴室を適温に保ちやすくなり、ヒートショックのリスクを減らせます。浴室だけでなく脱衣所まで温められるところも、浴室暖房機を導入するメリットです。

また乾燥機能付きタイプの浴室暖房機なら、カビの予防や悪天候時の洗濯にも役立つでしょう。簡易的なものであれば、脱衣所専用のヒーターを個人で購入することもできますが、消し忘れなどに注意が必要です。

工事をして浴室暖房機を設置する場合の費用相場は、10万円〜25万円程度となります。

浴槽をまたぎやすい高さにする

歳を重ねると身体を思ったように動かせなくなるため、浴槽の高さやサイズの見直しが必要です。浴槽をバリアフリー化するためのポイントは、次の通りです。

  • 浴槽の高さは30cm〜40cm程度がまたぎやすい
  • 浅いタイプの浴槽がおすすめ
  • 腰掛けや傾斜などを設ける

一般的な浴槽の高さは60cm程度ですが、バリアフリーを意識するなら少し低めの30cm〜40cmが適しています。浴槽が深いと溺れてしまうリスクがあるため、膝上よりも深い浴槽を使っている場合は、浅いタイプに変更するのがおすすめです。

また浴室の3分の1が床面より下に埋まっている「半埋め込み式」や、腰掛けスペースがある介護に特化した浴槽であれば、さらに使いやすくなるでしょう。

浴槽のバリアフリー化の費用相場は、10万円〜55万円です。

浴室発信器を設置する

浴室発信器とは、お風呂の中で万が一の事態が発生したときに、外部に知らせるための設備です。高齢者が一人で入浴する場合は、浴室発信器をはじめ緊急時に役立つ設備の導入を検討しましょう。

浴室発信器には、「ボタンを押すタイプ」「紐を引くタイプ」など、いくつかの種類があるため、使い勝手を確認した上で選ぶことが必要です。

本体価格は2,000円〜3万円が目安ですが、本体価格だけでなく設置費用が別途かかるケースもあります。ワイヤレスタイプであれば工事不要で、すぐに使い始めることができ便利です。

バスリフト・シャワーキャリーを設置する

バスリフトとは、足腰が不自由な方、ひざや腰を曲げるのがつらい方の入浴をサポートするための昇降設備です。電動でシート部分を動かせるため、浴室をまたぐ必要がなく、座ったままお湯に浸かることができます。

シャワーキャリーとは、お風呂場などの水周りで使える専用の車椅子です。シャワーキャリーを使うことで入浴時の移動がスムーズになり、立ったり座ったりする回数も減らせるため、介護する側の負担も軽減されます。

それぞれの費用相場は、バスリフトが20万円〜30万円程度、シャワーキャリーが3万円〜10万円程度となっています。

扉・脱衣所を大きくする

扉や脱衣所を大きくすることで、入浴介助をスムーズに行いやすくなります。具体的には、扉は引き戸や引き折れ戸といった、大きく開くタイプのものがおすすめです。弧を描くように開閉する開き戸の場合、スペースに無駄が生じるため、車椅子やシャワーキャリーが扱いづらくなる場合があります。

脱衣所のスペースも広い方が好ましいですが、大きすぎるとリフォームにかかるコストが膨らみ、掃除の手間も増えてしまいます。浴室に入る際の動きや、脱衣所での行動を想定しながら、生活スタイルにあったレイアウトを考えていきましょう。

費用の相場は、浴室扉交換が6万円〜20万円程度、脱衣所全体のスペース拡張が30万円~55万円程度となります。

高齢者向けユニットバスもおすすめ

壁や床、浴槽が一体化している浴室を「ユニットバス」と呼びます。お風呂をバリアフリー化する際は、高齢者向けのユニットバスを選択する方法もあります。ユニットバスを選ぶメリットは、次の通りです。

  • 予算に応じて選べる
  • 在来工法に比べて工期が短い
  • お手入れが簡単

基本的に高齢者向けのユニットバスは、安全面や使いやすさにこだわって設計されています。TOTOやPanasonic、LIXILなど、さまざまなメーカーから発売されているため、機能を比較しながら最適なモデルを探してみましょう。

お風呂のバリアフリー化で利用できる補助金

お風呂のバリアフリー化では、前述の通り設備によっては大きな費用がかかります。費用を抑えてバリアフリーのリフォームを行いたい場合は、補助金の活用を検討してみましょう。以下では、バリアフリー化の際に利用できる補助金を3種類紹介します。

介護保険

要介護もしくは要支援の認定を受けている場合、お風呂のバリアフリー工事の費用の一部が介護保険制度から支給されます。ただし全てのバリアフリー工事が対象となるのではなく、「手すりの取り付け」「段差の解消」「滑りの防止」「引き戸などへの扉の取替え」など、対象工事が限られていることに注意が必要です。

工事費用の上限は20万円となっており、所得に応じて7〜9割の保険給付が受けられます。最大18万円の補助金が支給され、限度額の範囲内であれば複数回の申請も可能です。なお介護保険を利用して住宅の改修をする場合は、「住宅改修が必要な理由書」の提出が必要です。理由書は介護支援専門員などの資格を有する人が作成しなければならないため、ケアマネジャーに相談しながら申請を進めていくこととなります。

※参考:厚生労働省.「介護保険における住宅改修」.https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001016043.pdf ,(参照 2024-8-31).

自治体の補助金制度

自治体によっては、お風呂のバリアフリー化のための補助金制度が用意されています。例として、大阪府の補助金制度をいくつか紹介します。

【大阪市:高齢者住宅改修費給付事業】

対象工事介護保険制度における居宅介護住宅改修費制度の給付対象外で、介護保険制度の住宅改修と同時に行われる工事(手すりを取り付けた壁の改修など)
対象世帯大阪市内に住所を有し、介護保険料段階が第1~6段階であり、要介護認定で要支援以上の認定を受けた高齢者のいる世帯
補助金額最大で工事費用のうち30万円まで
URLhttps://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000630443.html

【摂津市:住宅リフォーム補助金】

対象工事内装工事、水周り改修の給排水工事など
対象世帯摂津市内で新たに同居・近居するために、子世帯または親などが、既存住宅のリフォーム工事を行った世帯
補助金額住宅リフォームに要した経費の2分の1まで(上限25万円)
URLhttps://www.city.settsu.osaka.jp/soshiki/kensetsubu/kenchikuka/tasedai_doukyo/10181.html

補助金が支給される条件が細かく設定されているため、詳細は各自治体のサイトで確認してください。

長期優良住宅化リフォーム推進事業

長期優良住宅化リフォーム推進事業は、既存住宅の性能向上や環境改善を支援する国の制度です。

対象工事・ユニットバス化
・脱衣室の防水措置
・手すり設置など
対象世帯性能の向上を図るリフォームや三世代同居に向けたリフォームを検討している世帯など
補助金額補助対象工事費用の1/3(最大で210万円/戸)
URLhttps://r06.choki-reform.com/

補助金額は大きいですが、住宅全体の性能向上が前提となっており、お風呂のバリアフリー化だけでは要件を満たすことは困難です。申請手続きは、登録事業者が行う必要があるため、リフォーム業者に相談しながら具体的な工事計画を立てていきましょう。

お風呂をバリアフリー化する際の注意点

お風呂のバリアフリー化で後悔しないためには、いくつかの注意点を把握した上で、事前に対策を講じることが大切です。ここでは、お風呂をバリアフリー化する際の注意点を解説します。

自由にリフォームできない場合がある

お風呂のタイプは、「ユニットバス」「在来工法」の2種類に大別されます。前述した通り、ユニットバスは壁や床、浴槽が一体化している浴室のことで、工期が短い点などがメリットとして挙げられます。一方、在来工法は現場で下地から仕上げまで行う施工方法を指します。

ユニットバスは在来工法と比べて施工の自由度が低く、細かい寸法の調整等ができないケースがあります。また実現したい浴室の形や大きさによっては、ユニットバスでは対応できない可能性があるため注意が必要です。

リフォーム中はお風呂が使えない

お風呂のリフォーム期間中は、自宅のお風呂が使えません。工事内容にもよりますが、在来工法からユニットバスに変更する場合は約1週間、ユニットバスを取り替える場合は2日〜3日が施工期間の目安となります。

そのため、使用できない期間の入浴をどうするかを事前に検討しておきましょう。お風呂のバリアフリー化だけであれば、銭湯などの近くの入浴施設を利用する方法がおすすめです。家全体のリフォームを実施する場合は、ウィークリーマンションやホテルなどを仮住まいとして利用する方法もあります。

長年使用しているお風呂は全取り換えも検討

一般的に、浴室のリフォーム時期は設置してから15年~20年が目安と言われています。20年以上使っていると汚れや傷が目立ち、排水機能にトラブルが発生する可能性も高まります。

そのため長年使用しているお風呂の場合は、手すりの設置や床材の変更だけでなく、浴室全体のリフォームも検討するようにしましょう。

お風呂のバリアフリー化はリフォーム業者に相談しよう

お風呂のバリアフリー化は、専門業者による工事が必要となるケースが大半です。どのような工事をすべきか判断できないときは、プロの意見を参考にしながら進めていきましょう。

補助金の利用を考えている場合は、事前に業者に伝えておくとスムーズに打ち合わせを行えます。複数の業者から見積もりを取得し費用を比較する場合は、材料費・施工費が全て含まれた価格になっているのかを確認してください。

お風呂を見る

お風呂のバリアフリー化・リフォームはミヨシテックにお任せを!

お風呂をバリアフリー化することで、入浴時の転倒や溺水のリスクが軽減できます。費用を抑えてリフォームを行いたい場合は、補助金の活用も検討してみましょう。

「お風呂が使いづらく困っている」「どのようなリフォーム工事が補助金の対象となるか知りたい」という方は、ミヨシテックにぜひご相談ください。ミヨシテックは、50年以上の歴史を持つ水道工事・電気工事・リフォーム工事の専門業者です。水回りのプロフェッショナルであるミヨシテックが、お客さまのご要望に合ったプランをご提案しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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