生活に欠かせない洗面台ですが、使用期間が長くなるほど、さまざまなトラブルが発生しやすくなります。蛇口を締めてもポタポタと水が漏れたり、レバーハンドルの動きに違和感があったりするときは、取り替えを検討してみましょう。
本記事では、蛇口を取り替えるサインや洗面台で使用される蛇口の種類、締め方のタイプを解説します。洗面台の蛇口を自分で交換するときの具体的な手順や注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
まずは、洗面台の蛇口を取り替えるサインを紹介します。トラブルを放置してしまうと、問題がさらに大きくなる恐れがあるため、これらの症状が発生したらできるだけ早く対処することが大切です。
一般的に蛇口の寿命は10年前後といわれています。寿命を過ぎると、パッキンの劣化やネジの緩みといった不具合が生じやすくなります。問題なく使用できている場合でも、10年を目安に交換するのがおすすめです。新しい蛇口は機能性も高まっているため、使い勝手の向上や、節水・節湯効果も期待できるでしょう。また、10年以上経過すると、蛇口の部品が廃盤となる可能性も高まります。
廃盤となっている場合は、まず後継の部品がないか確認が必要です。後継の部品が見つけられないときは、専門の業者に相談してみましょう。業者によっては、廃盤の在庫があったり、代替品に関するデータを持っていたりするため、スムーズに交換が行えます。
蛇口からの水漏れは、洗面台のトラブルの中でも特に注意が必要です。洗面台を使用中に隙間から水がポタポタと漏れている場合は、カートリッジやパッキンが劣化していると考えられます。蛇口を閉めた状態でも本体の根元や接続部分から水漏れが発生している場合は、カートリッジの劣化を疑いましょう。蛇口を開けたときに、本体やハンドルの根元から水が漏れている場合は、パッキンが劣化している可能性があります。
部品の故障だけであれば、カートリッジやパッキンを交換することで水漏れが解消できるかもしれません。交換用の部品をオンラインストアやホームセンターで購入できれば、個人での修理対応も可能です。しかし、軽度の水漏れだからとそのまま使用を続けてしまうと、深刻な故障につながるリスクがあります。修理費用も高くなってしまうため、早めの対処を心掛けましょう。
洗面台の水漏れを放置してしまうと、次のようなトラブルを誘発する恐れがあります。
水がポタポタ漏れている状態をそのままにしておくと、その分水道料金が高くなります。各地域の水道局では、水漏れした場合の減免制度が設けていることもありますが、基本的に蛇口などのすぐに発見できるような箇所は適用外とされていることが多いです。
また、湿気がこもりやすくなることで、カビや水垢などが発生し、錆や腐食といったトラブルにつながる可能性もあります。本来なら部品の交換で解消できたトラブルでも、放置する期間が長くなることでダメージが蓄積し、修理費用が高額になる恐れがあるでしょう。
水漏れが床にまで及んでしまうと、さらに負担が大きくなります。集合住宅の場合、階下の部屋に損害を与えてしまう恐れもあるため、早急な対処が必要です。
「レバーハンドルに違和感がある」「スムーズに動かないため水量の調整が難しい」なども、不調のサインです。レバーハンドルがぐらつく場合は、内部のネジが緩んでいる可能性があるため、ドライバーなどで締め直してみましょう。蛇口を解体して作業するときは、止水栓を閉めるなど、事前準備を徹底してください。
ハンドルの動きが悪いケースでは、部品の劣化、潤滑油の不足、錆の発生が主な原因として考えられます。部品の劣化であれば交換品を用意し、個人での対処が可能です。潤滑油の不足についても、蛇口専用の潤滑油を追加することで改善が見込めます。錆が発生した場合は完全に取り除くのが難しいため、状況に応じて蛇口本体の取り替えを検討してみましょう。
洗面台で使用される蛇口のタイプは、取り付けの穴の数や形状によって「ワンホール」「ツーホール」「コンビネーション」の3種類に分けられます。また水量・水温を調節する水栓部分は「レバー式」「ハンドル式」に大別できます。ここでは、それぞれの仕組みや特徴について見ていきましょう。
ワンホールとは、取り付けの穴が一つだけの形状を指します。洗面台の天板から1本だけ配管が出ている場合はワンホールです。シングルレバーとは、1本のレバーで水量と水温を調整できるタイプです。基本的には、レバーが真ん中より右側にあるときは「水」、真ん中より左側にあるときは「お湯」が利用できます。
ツーホールとは、取り付けの穴が2つある形状を指します。洗面台と配管の接続部に横長の台がついている場合は、ツーホールとなります。国内では、洗面台用の穴と穴の間隔が102mmで統一されているため、メーカーに縛られず交換が可能です。ツーホールの形状でも、1本のレバーで水とお湯を調整できるシングルレバータイプを採用することもできます。
ツーホール/ツーハンドルは、取り付けの穴が2つある形状かつ2本のハンドルがついているタイプです。ツーハンドルでは、水とお湯の穴の上にそれぞれ独立したハンドルが用意されています。2本のハンドルを使って水量や水温を調整する必要があるため、近年では見かけることが少なくなっています。
蛇口本体とレバーが分離しているタイプは、「コンビネーション」と呼ばれています。バリエーションも豊富にあり、蛇口本体とツーハンドルで構成されるスリーホールタイプも、コンビネーションに分類されるケースがあります。既製品ではなくオリジナルの洗面台を設計したいときや、壁面から水栓を出したいときなどに選ばれることの多いタイプです。洗面用シングルレバー式洗髪シャワーの場合、1本のレバーで水量・水温の調整ができ、簡易的なシャワーとしても利用できます。
洗面所に水をためる際に使う調整具を「排水栓」といいます。蛇口の種類に加えて、排水栓の締め方にも複数のタイプがあるため、交換する前に確認しておくことが大切です。ここでは、排水栓の種類とそれぞれの仕組みを解説します。
ポップアップ式は、蛇口本体にある「引き棒」を操作することで、排水栓を開閉します。一般的には、引き棒を押すと排水栓が開き、引くと閉じるという仕組みです。ただし、引き棒の仕様はメーカーによって異なるため、交換時には注意しましょう。また、ポップアップ式以外の締め方に変更したい場合も選べる製品が限られます。
ワンプッシュ式も、蛇口本体にある「引き棒」を操作することで、排水栓を開閉します。ワンプッシュ式では、開けるときも閉めるときも引き棒を押すだけで排水栓のコントロールが可能です。ポップアップ式を「従来型」、ワンプッシュ式を「新型」と呼ぶこともあります。
ゴム栓式では、排水口にゴム素材の蓋をして水の流れを止めます。利便性を向上させるために、ゴム栓は金属のチェーンにつながれ洗面台に取り付けられています。ゴム栓は蛇口本体とは独立しているため、劣化した場合でも蛇口の交換は発生しません。
ゴム栓式からポップアップ式やワンプッシュ式に変更したい場合は、蛇口だけでなく排水周りの作業も発生するため、専門の業者に依頼して交換してもらうのがおすすめです。
排水栓の開閉機能が蛇口側に備わっておらず、洗面台で行うタイプを「貫通穴(排水金具)なし」といいます。蛇口の種類がコンビネーションタイプの場合、一部の例外を除き、排水栓の締め方は「貫通穴(排水金具)なし」となります。
貫通穴(排水金具)なしでは、排水栓を開閉する引き棒が洗面台に付いており、押したり引いたりすることで操作可能です。メーカーや製品によって操作の仕方が異なり、押すと排水栓が開くパターン、押すと排水栓が閉じるパターンが存在します。ゴム栓式と同様に、蛇口と排水機能が連結していないため蛇口の交換が発生しても、引き棒はそのまま使用可能です。
洗面台の蛇口交換において、下記の条件に当てはまる場合は注意が必要です。
ツーホールからワンホールへの交換は可能ですが、穴が一つ余ってしまうことになります。洗面台の見栄えが悪くなるため、「化粧蓋」「化粧キャップ」を使うなどして、穴をふさぐ方法を考えなければなりません。
水だけの単水栓から、水とお湯が使える混合水栓に交換する場合は、配管工事が発生します。大掛かりな工事となるため、業者に見積もりを依頼して事前に費用感を確認しましょう。海外メーカーの蛇口に交換する際は、サイズの確認が必須です。内部の構造も異なっているため、3階以上に設置する場合は水圧が弱まってしまうリスクもあります。海外製はおしゃれなデザインが魅力ですが、機能性に問題がないかもしっかりとチェックすると良いでしょう。
「ポップアップ式(従来型)からワンプッシュ式(新型)に交換したい」というニーズは多いですが、交換できる条件が厳しく対応不可としている業者も少なくありません。ワンプッシュ式にこだわり過ぎると、製品の選択肢も狭まってしまうため、機能やデザインなどを総合的に比較して上で、本当に交換が必要かを判断しましょう。
洗面台の蛇口は、LIXILやTOTO、Panasonicなど、さまざまなメーカーが製品を展開しています。現在の蛇口と交換する蛇口が同じタイプであれば、メーカーが違っても交換が可能です。ここでは、洗面台の蛇口を自分で交換ために必要な道具や、具体的な交換手順を解説します。
洗面台の蛇口を交換するためには、下記の道具・部品が必要です。
ほとんどの道具はオンラインストアやホームセンター、100円ショップで購入できます。モンキーレンチとウォーターポンププライヤーは、どちらもナットを回すときに使う道具です。ウォーターポンププライヤーは先端がギザギザになっており、ナットを挟むときに傷が付いてしまう恐れがあるため、外から見える部分はモンキーレンチで作業するのがおすすめです。
プラスドライバーは蛇口のネジを外すとき、マイナスドライバーは止水栓を開閉するときに使用します。ただしメーカーや蛇口の種類によっては、立水栓取付レンチや六角レンチが必要となるケースがあります。蛇口購入時の付属品として用意されていることもあるので、事前に確認しておきましょう。
作業中の汚れ落としや水漏れ対策として、養生シートやダンボール、雑巾、ブラシ、バケツ、ゴム手袋、軍手などがあると便利です。
交換手順は、洗面台の蛇口タイプによっても異なります。今回は、ワンホールタイプの蛇口を交換する手順を6つのステップで紹介します。ステップごとのポイントや注意点もまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
まずは、作業前の下準備から始めます。蛇口が老朽化している場合は水漏れが発生する可能性があるため、洗面所の床に養生シートを敷いておきます。養生シートは、ダンボールでも代用可能です。養生シートやダンボールを敷くことで、作業中に工具で床を傷付けてしまうリスクも軽減できます。
続いて、蛇口をスムーズに取り外すために、洗面ボウルの下を片付けて作業スペースを確保します。新しい蛇口に傷がないか、必要な部品・道具がそろっているかを確認し、下準備は完了です。
蛇口の交換作業を始める前に、必ず止水しなければなりません。止水栓を閉め忘れてしまうと、蛇口を取り外した瞬間に大量の水が噴き出し、水浸しになってしまう恐れがあります。一般的には洗面ボウルの下のスペースに洗面台の止水栓があるため、時計回りに回して閉めておきましょう。手が汚れたり傷付いたりしないよう、ゴム手袋や軍手を装着して作業に取り掛かってください。
止水栓はハンドルタイプが主流ですが、製品によってはマイナスドライバーでの作業が必要となります。止水栓がない、もしくはうまく回せない場合には、水道の元栓を閉めることで水の流れが止まります。本当に止水できているか不安なときは、取り外す前に蛇口を回し、水が出ないことを確認してみましょう。
止水できたら、止水栓のナットを緩めてホースを取り外します。このとき、残り水が出てくることがあるため、雑巾やバケツなどで水漏れを防ぎましょう。続いて、立水栓取付レンチや六角レンチを利用して、蛇口を固定している部品を外していきます。
部品が外れたら、蛇口本体を上から引き抜きましょう。古い蛇口は錆で動きが悪くなっていることがあるため、力任せに抜いてしまうと、洗面台が破損するリスクがあります。周りを傷付けないよう、ゆっくりと引き上げるのがポイントです。
蛇口・台座を取り外した後は、取付部の汚れを落とします。水垢汚れが気になる場合はブラシや中性洗剤を使いながら、少しずつきれいにしていきましょう。洗剤の種類によっては、洗面台を傷めてしまう恐れがあるため、少量を薄めながら使用してください。取付部がきれいになったら、水気が残らないようしっかりと拭き取ります。
新しい蛇口を用意し、取付穴の上から差し込みます。蛇口の位置が定まったら、裏側からナットやネジで固定し、逆止弁付きソケットを止水栓に取り付けます。このとき、止水栓が誤って開いてしまわないようモンキーレンチで固定しながら作業を進めていきましょう。
逆止弁付きソケットが取り付けられたら、蛇口本体のホースと接続します。接続が正しくできていないと、接続部から水が漏れてしまうため、ズレやぐらつきがないかを確認してください。製品によっては、排水金具やシャワーホースとの接続作業も必要です。
新しい蛇口の取り付けが終わったら、止水栓を反時計回りに回して通水します。蛇口本体とホースの接続部やレバーの隙間などから漏水していないか確認し、問題がなければ洗面台を作業前の状態に戻します。周辺を掃除し、養生シートやダンボールを撤去して交換作業は完了です。
洗面台の蛇口を自分で交換するときは、下記の点にも留意しておきましょう。
部品や部材は予備として用意されているものもあるため、交換後に残っていても問題ありません。ただし、蛇口は誤った取り付け方をすると漏水・水漏れのリスクが高くなります。施工説明書及び取扱説明書を手元に用意し、手順に抜け漏れがないか、正しい部品を使っているかをチェックしながら、作業を進めましょう。
今回はワンホールの一般的な交換手順を紹介しましたが、メーカーや製品によって施工方法が異なる場合があります。タッチレス水栓など電源を必要とする製品は、専門の資格が必要となるため、有資格者以外の個人が交換することはできません。
洗面台の蛇口は自分で交換できますが、失敗してしまうリスクもあります。集合住宅の場合、階下に水漏れの影響が及び、損害賠償を求められるケースも想定しなければなりません。また、道具を持っていない人は作業前に一式をそろえる費用もかかります。
そのため、自分で交換した経験がある方、水回りのDIYの知識・経験がある方以外はプロに任せるのがおすすめです。専門の業者に依頼することで、「掃除を楽にしたい」「デザインにこだわりたい」といったニーズに合わせた提案をしてもらえます。
専門の業者に依頼するときは、必ず複数の業者から見積もりをもらい、金額や工事の内容を確認しましょう。疑問や不安なことがあれば質問し、丁寧に回答してもらえるかもチェックしておきたいポイントです。いくつか比較し、依頼する業者を選びましょう。
洗面台の蛇口は、10年前後が交換の目安となります。同じタイプの蛇口であれば自分で交換することもできますが、適切に止水できていなかったり、劣化が激しかったりすると、予期せぬトラブルが発生する恐れがあります。自分で蛇口を交換する際は、事前に蛇口の種類や排水栓の閉め方をチェックしておきましょう。そして、交換手順をしっかりと守り、失敗しないよう注意しながら作業することが大切です。
蛇口の交換作業の経験がない方や、自分で作業するには不安がある方は、プロに依頼するのがおすすめです。蛇口の交換や洗面台のリフォームを検討している方は、専門の業者への依頼も検討してみましょう。
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