マンションのキッチンが古くなった、使い勝手が悪くなってきたと感じたら、リフォームのタイミングかもしれません。実際にリフォームするとなると「最新のアイランドキッチンにしたい」「今より広くしたい」「食洗器を付けたい」など、いろいろな要望が出てくることでしょう。そこで気になるのが費用です。
本記事では、キッチンをリフォームするときの注意点や、リフォームの主なレイアウト、費用の相場などについて解説します。マンションに住んでいてキッチンのリフォームを検討している人はぜひ参考にしてください。
目次
マンションを購入して所有している人がリノベーションやリフォームをする場合、もちろん工事は可能です。キッチンのリフォームはもちろんのこと、部屋の間取りを今より広くする、床の段差をなくしてバリアフリーにする、壁・天井のクロスを張り替える、最新のユニットバスを取り付けるなど、実際にさまざまなリフォームの仕方があります。
ただしマンションで工事できるのは、あくまで専有部分となる住戸内のみです。もちろんキッチンのリフォームはできますが、マンション側の管理規約の内容や構造上の問題などにより、制約が生じる可能性があります。
マンションでリフォームを行う際は、戸建て住宅のように自由度の高い改築ができるわけではない点を覚えておきましょう。
マンションのキッチンをリフォームする際は、いくつか押さえておくべき注意点があります。例えば構造上の問題でキッチンそのものが移動できなかったり、キッチンの設備が大き過ぎて入らなかったりする場合があります。マンションの管理規約によっては、リフォームに持ち込める機材や工期が制限されるかもしれません。
主な注意点について、4つのポイントに分けて詳しく見ていきましょう。
マンションのキッチンリフォームでは、梁が障害となる可能性があります。梁は柱と同様にマンションの構造を支える上で重要な部材です。
リフォームするキッチンのレイアウト内に梁があった場合、レンジフードや吊り戸棚の設置に影響が生じるなどの問題により、思い切ったレイアウトの変更が妨げられる場合があります。
もちろん梁そのものをうまく隠したり利用したりするなどして、キッチンのリフォームを行うことは可能です。その際はオーダーキッチンだけでなく、システムキッチンでもマンションの梁に対応しているタイプがあるかどうか、事前に確認しておくと良いでしょう。
キッチンのリフォームの際に、マンションの構造によっては床下の給排水やダクト、電気の配線の位置を動かせない可能性があります。例えば給排水の配管は水を流れやすくするために、勾配を付ける必要があるため、キッチンの位置が大きく移動すると、今までのようには水がうまく流れないこともあります。
そのため給排水やダクト、電気配線の正確な位置や、移動が可能な場合はどこまで移動できるのかなどを、事前にしっかり確認することが重要です。特にキッチンの設置場所が大きく変わる場合、念入りに確認しておきましょう。
キッチンの位置やマンションの造りによっては、撤去したくてもできない構造壁があることも考えられます。構造壁は、柱や梁の代わりに壁で建物の構造を支えているため、リフォームしたいからといって撤去するのは不可能です。
例えば従来の壁付けではなく対面式のキッチンにしたい場合、アイランドキッチンの一辺だけを壁に付けたペニンシュラ型キッチンを選択する人がいます。その際、コンロまわりの壁は注意が必要です。コンロの前の壁が、単なる目隠しではなく、撤去できない構造壁の可能性があります。
ただし構造壁があることによってキッチンリフォームができない、というわけではありません。構造壁がある場合は、構造作壁対応のキッチンを選ぶと良いでしょう。
マンションには、所有者や住民が守るべき管理規約が存在します。管理規約によって、リフォームできる内容や箇所に制限が設けられている可能性もあるので、事前に確認が必要です。
特に使用可能な床材や電気の容量、リフォーム機材の搬入搬出などに関しては入念にチェックしておきましょう。
例えば床材については、マンションが定める防音規定によって使用できる材質が定められ、下の階に生活音が響くのを防いでいる場合があります。フローリングが禁止されていたり、張り替えそのものが認められていなかったりする可能性もあります。せっかく用意した床材が使えないという事態にならないよう、事前に確認しておきましょう。
電気の容量についても、規約の確認が必要です。例えばガスコンロからIHクッキングヒーターに交換したい場合、これまでよりも使用電力が大幅に増えるため、電圧を変更するのに追加の工事が必要になる可能性があります。またリフォームの際の工事期間や日中の工事の時間帯、機材の搬入出についても管理で規定しているケースがあります。
マンションのキッチンをリフォームする際、キッチンのレイアウトそのものを変える人も少なくありません。リフォームで選択できるキッチンのレイアウトには主に4つのタイプがあります。それぞれの特徴について見ていきましょう。
なお代表的なキッチンのレイアウト変更として、キッチンの場所そのものを移動する方法と、従来の壁付けキッチンから今どきの対面式のキッチンへと変更する方法が挙げられます。
I型キッチンは、シンクとコンロを横長に配置したタイプです。設備が横一直線に並んでいるため、コンパクトな動線内で調理や盛り付け、皿洗いなどの作業ができます。
オープンキッチンでI型キッチンにした場合、どの位置に立って作業していても視界が良いことから部屋の状況を確認しやすく、家族や来客とのコミュニケーションを取りやすいことがメリットです。
ただしあくまで横の動線のみなので、複数人で調理するにはスペースに限界があります。キッチンやシンクなどの設備が大きい場合、横に大きく動かなければならず、逆にコンパクトな動きでは収まらなくなります。また料理の匂いや煙が広がりやすいのもデメリットです。
L型キッチンは、シンクとコンロを90度のL型にそれぞれ分けて設置したレイアウトです。
L型キッチンのメリットには、シンクとコンロの位置関係から形成されるコンパクトな作業動線により動きやすい、スペースに余裕があるので複数人での作業に適しているなどが挙げられます。
一方で90度に曲がるため、設置には広いスペースが必要です。またちょうどL字の付け根であるコーナー部分、つまりシンクとコンロの間は収納がしづらいなど、使い勝手が良くない部分もあり、場合によってはデッドスペースが生じるかもしれません。そのためL字の形状を生かした収納を設置するなど、活用するための工夫をすると良いでしょう。
セパレートキッチンは、2台のキッチン台を「二」の字のように平行に並べて、シンクとコンロを分けて設置したタイプのキッチンです。
キッチン台が2つあるため、それぞれに収納スペースを設けてたっぷり物を入れられます。また2つのシンク台の間で作業スペースが広く設けられているため、複数人でも不便なく作業できる点が大きなメリットです。
ただしコンロとシンクが分離しているため、例えば料理を入れたお皿を運ぶ場合は、慎重に移動する必要があります。またキッチン台が2台になる分、設置にはそれだけスペースが必要になり、費用もかさみます。
アイランド型キッチンは壁から分離し、島のように独立したキッチンです。
アイランド型キッチンは開放的かつスタイリッシュな外観が魅力です。視界を遮ることなくリビング・ダイニングを見渡せて、作業中でも家族やゲストと会話を楽しめます。キッチンの左右が空いているので出入りがしやすく、複数人でも快適に作業できるでしょう。
一方で広々とした空間を演出するためには、広い設置スペースを確保する必要があり、収納スペースも限られます。オープンな空間のため、料理の匂いや煙がキッチンだけでなく、リビング・ダイニングに広がりやすい点もデメリットです。
気になるマンションのキッチンリフォームの費用相場は、全体として50〜300万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
リフォーム費には、主に「システムキッチン本体の価格」と「工事費」が含まれます。ただしレイアウトの変更や設備の交換など、リフォームの規模・範囲により費用は大幅に変わる可能性があります。まずは工事を依頼する施工業者に、正確な見積もり作成を依頼するのがおすすめです。
リフォーム費用を抑えたい場合、例えばキッチン台を丸ごと交換ではなく、ガスコンロのみを交換、あるいはIHクッキングヒーターに変更すると良いでしょう。
全体をシステムキッチンへ変更する際、シンプルなタイプであれば50万円程度で済むケースもありますが、より高機能でスタイリッシュなタイプとなると100万円や200万円程度の出費になることもあります。
レイアウト変更の場合、例えば従来のI型からアイランド型キッチンに変更するようであれば、キッチン本体の入れ替えに加えてより大がかりな工事が必要になり、150万〜300万円程度と費用もかさみます。
キッチンのガスコンロを交換する場合、どのクラスのコンロにするかで費用が異なります。スタンダードクラスであれば5〜10万円程度、ミドルクラスのものであれば15万円から、ハイグレードな製品であれば20万円程度が目安です。全体として10〜20万円程度の費用を見込んでおくと良いでしょう。
従来のガスコンロからIHクッキングヒーターに設置したい場合、本体代に加えて交換設置工事が発生するため、20〜30万円程度が相場です。ただし元々IHクッキングヒーターを使っていて別の製品に交換したい場合は、12〜15万円を目安にすると良いでしょう。
マンションのキッチンをリフォームしたい場合、梁の位置や大きさ、構造壁の有無、マンションの管理規約で定められた制約などの点を確認する必要があります。気になるリフォームの費用は一部の設備のみの交換か、それともキッチン丸ごとの交換か、レイアウト変更を伴うかなどの条件次第で大きく変わります。事前に施工業者からしっかりと見積もりを受け取って検討するのがおすすめです。
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